全国でラーメン店を426店舗運営する幸楽苑ホールディングス<7554>が社員の給与20%カットを決定しました。5月から7月までの措置で、夏のボーナスの支払いも無しとなる予定です。同時に会長と社長の役員報酬を50%減額、監査役も30%減額となりました。

幸楽苑は新型コロナウイルスの緊急事態宣言の発表を受け、直営店363店舗の営業時間を2~7時間短縮。フードコート31店舗が休業となりました。それにより、2020年4月の売上高が前年同月比50%減と大打撃を受けています。

一風堂の力の源ホールディングス<3561>が代表取締役の役員報酬の32%減額を決定するなど、経営者の報酬減額に各社動いています。そこから更に踏み込んだ社員の給与カットが幸楽苑以外の企業にも広がるのでしょうか。

この記事では以下の情報が得られます。

・幸楽苑が役員報酬、社員の給与カットをした理由
・コロナウイルスが幸楽苑の競合他社に与えた影響

売上予想を40億円引き下げ

らーめん
画像はイメージ(Photo by PAKUTASO)

幸楽苑は2020年3月期の売上予想を420億円から380億円に9.5%引き下げました。2019年3月期が412億6800万円なので、前年度比8%の減少となります。営業利益も21億円から6億円に71.4%引き下げ。純利益は前期10億円の黒字から4億円の赤字へと転落することとなります。

幸楽苑は2019年10月に上陸した台風の影響で郡山工場が操業を停止。工場直轄の店舗が臨時休業する事態に見舞われていました。2019年10月の売上は前年比69.3%と低迷します。12月に90%台まで回復し、これからというときに新型コロナウイルスがやってきたのです。

幸楽苑はもともと潤沢なキャッシュがある財務状況が安定した企業とはいえません。2020年3月期第3四半期の段階で現金及び預金額は26億3400万円。1年以内に返済する長期借入金が7億4800万円、未払い費用が19億円あります。流動資産が46億5500万円、流動負債が68億4100万円。流動比率は68%。目安となる100%を下回っていました。ちなみに、競合のハイデイ日高<7611>は流動資産が152億8200万円、流動負債が49億8700万円で流動比率は300%を超えています。極めて安定した経営状態です。

台風による工場の損壊と臨時休業による売り上げ減、脆弱な財務基盤、非常事態宣言での営業自粛。幸楽苑の社員の給与引き下げには、こうした背景があります。

幸楽苑の平均年収は518万円(有価証券報告書より)です。通年のボーナス額が平均で120万円、夏のボーナスが60万円だと仮定すると、3か月20%の給料と夏のボーナスのカットで年収は438万円となり、およそ80万円下がることとなります。

給与の引き下げという事態は、同業他社にも連鎖するのでしょうか。

まずは新型コロナウイルスが企業に与えた影響をみてみます。下の表は幸楽苑と競合他社の2020年2月からの前年同月比売上推移です。幸楽苑は4月の売上高が50%となりました。都市部ではなく郊外型の店舗展開をしているため、競合他社と比較して減少幅はまだ少ない方だったといえます。

【競合他社の月次売上推移】

企業名2月3月4月
幸楽苑ホールディングス93.9%78.0%50.0%
ハイデイ日高(日高屋)104.7%82.0%49.3%
JBイレブン(一刻魁堂)104.4%78.5%44.8%
力の源ホールディングス(一風堂)103.7%74.4%11.2%

一風堂の力の源ホールディングスへの影響は甚大でした。同社は4月16日の非常事態宣言の対象エリア拡大に伴って、直営店107店舗全店を休業しています。また、売上構成比率が国内は57%、海外が32%となっている点も特徴的。中国・香港エリアへの出店が中心となっており、4月の海外売上高は前年比9.2%となりました。海外への出店戦略が世界的なパンデミックで仇となっているのです。