上述した東芝のプレスリリース(2015年11月17日)を見ると、2012年度の減損の検討について、以下の状況が分かります。
WEC:プッシュダウン会計で認識したのれんを減損している
東芝(連結):減損を認識していない
WECでは減損しているのに東芝全体では減損していないのは矛盾に思えます。
東芝ではこの理由を、WECでは4つのプロダクトラインごとに減損を検討しているのに対し、東芝の連結決算では(東芝側の管理部隊も含めた)WECグループ全体で減損を検討しているためと説明しています。
つまり、4つ合計すれば大丈夫だったという説明です。
実は、連結と単体で減損のグルーピングが異なるケースは皆無ではありません。
例えば親が製造、子が販売を担当していれば、子会社では仕入販売だけに着目しますが、親会社の連結では製造から販売まで合算して減損を検討します。
しかしながら東芝のプレスリリースを見ると、WECで2012年度に762億円、2013年度に394億円の減損を認識している一方で、連結ではこの期間にのれんの減損を認識していません。
私は内部情報は知りませんが、ここまで原子力事業に対する見方が異なっているのは説明が苦しいように思います。
ご存知のとおり、この時期は福島第1原発の事故で原子力発電の先行きが見えなくなっていた時期です。
最近よく耳にする「負ののれん」。会計用語にアレルギーを持つ方に向けて、わかりやすく説明します。
経営再建中の東芝は、子会社のウエスチングハウスが買収した米原子力事業で発生する減損損失が数千億円規模になる見込みであると公表し、話題になっています。
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