【島津製作所】M&Aで成長促進 スタートアップとの連携にも活路

alt
東京・神田の社屋

中期経営計画の目標を上回る

では前中期経営計画中に実施した3件のM&Aはどのような内容なのか。2017年に買収したフランスのALCは、安定同位体試薬の合成や製造を手がけている企業。島津は自社の液体クロマトグラフ質量分析計とALCの試薬キットをセット販売しており、ALCの買収によって新たな試薬キットの開発を進め、機器と試薬のセット販売で質量分析事業を拡大する作戦だ。

2018年に買収したドイツのIVGは半導体製造装置向けの超高真空環境を作り出すターボ分子ポンプを取り扱う企業。島津のターボ分子ポンプのメンテナンスなどを請け負ってきており、子会社化によって、欧州地域でのターボ分子ポンプの販売、サービス体制を一段と強化するのが狙いだ。

2019年に買収したCMIは島津の医用画像診断機器の販売代理店で、買収によって直販力を高めることにした。島津は2020年4月にCMIを吸収合併し、医用画像診断機器の販売とサービスを手がけるShimadzu Medical Systems USAのノースウエスト支店(ワシントン州)として、活動を始めた。

このほかにも同中期経営計画中に小規模なM&Aとして、中国でクロマトグラフ用の消耗品を販売する企業を子会社化したほか、韓国で医薬やライフサイエンス、大学などを中心に事業を展開する販売会社を買収した。

こうしたM&Aを踏まえ、現在の中期経営計画では、成長分野での事業拡大を狙いにスタートアップとの連携強化を打ち出していた。他社や大学などが持つ技術やアイデアなどを取り入れ、革新的なビジネスモデルを創り出すオープンイノベーション戦略の一環で、スタートアップのほかにも研究機関や大企業との連携などもある。

その一つがと2021年に実施した塩野義製薬<4507>との業務提携。新型コロナウイルス感染症対策の一つとして、下水中のウイルスの自動検出や、感染状況、変異株の発生動向などの検知が可能となる下水モニタリングシステムの構築を目指している。

コロナ関連では2020年に、新型コロナウイルス検出試薬キットや、全自動リアルタイムPCR装置の販売に乗り出すなど、取り組みを強化してきた経緯がある。

こうした活動の結果、2023年3月期は売上高4550億円(前年度比6.3%増)、営業利益680億円(同6.6%増)、経常利益680億円(同3.7%増)、当期利益490億円(同3.6%増)と増収増益を見込んでおり、中期経営計画の目標を大きく上回ることになりそうだ。

NEXT STORY

下水で新型コロナ「変異株」の発生動向を把握「塩野義」がサービスを開始

下水で新型コロナ「変異株」の発生動向を把握「塩野義」がサービスを開始

2021/06/17

塩野義製薬は、下水中に含まれる新型コロナウイルスの濃度を定期的に測定することで、対象地域での新型コロナウイルスの感染状況や変異株の発生動向などの早期検知が可能となる調査サービスを始めた。