【島津製作所】M&Aで成長促進 スタートアップとの連携にも活路

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東京・神田の社屋

際立つ技術力

島津の社名の由来は1500年代後半にまでさかのぼる。創業者である初代島津源蔵の祖先である井上惣兵衛尉茂一が、居住地の播州(兵庫県南西部)で、領地に立ち寄った薩摩の島津義弘に、 領地の検分などで尽力したことに対する感謝の印として、島津の姓と家紋を贈られたという。

創業は1875年。島津源蔵が京都で教育用理化学器械の製造に乗り出したのがスタートだ。1897年に蓄電池の製造を始めたほか、1936年には航空機器の製造に着手するなど業容を拡大していった。

1952年に日本初の光電式分光光度計を開発したのに続き、1956年には日本初のガスクロマトグラフを開発するなど、存在感を高めていった。2002年に同社社員の田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞し、その技術力の高さが際立った。

業績は好調だ。2020年3月期にコロナ禍の影響で減収減益を余儀なくされたが、落ち込み幅は1.5~6.1%と軽微だった。この後は回復基調に入っており、2023年3月期には3期連続の増収増益を達成できる見込みだ。

2024年3月期から2026年3月期までの次期中期経営計画では、どのような数値や目標を掲げるのか。企業買収やスタートアップとの連携、研究機関や企業などが持つ技術の活用など予想される取り組みは少なくない。

島津製作所の沿革と主なM&A
1875 初代島津源蔵が 京都木屋町二条南で創業、 教育用理化学器械製造を開始
1877 日本で初めて有人軽気球の飛揚に成功
1896 X線写真の撮影に成功
1897 蓄電池の製造を開始
1917 蓄電池部を別会社化
1936 航空機器の製造を開始
1952 日本初の光電式分光光度計を開発
1956 日本初のガスクロマトグラフを開発
1961 世界初の遠隔操作式X線テレビジョン装置を開発
1999 世界最高速の遺伝子解析装置を開発
2002 田中耕一氏がノーベル化学賞を受賞
2008 三菱重工業からターボ分子ポンプ事業を譲受
2017 フランスのAlsachim SAS社を買収
2018 ドイツのinfraserv Vakuumservice GmbHを買収
2019 米国のCore Medical Imaging, Inc.を買収
2020 新型コロナウイルス検出試薬キットを日本国内で発売
2020 全自動リアルタイムPCR装置を日本国内で発売
2022 日水製薬を子会社化(7月の予定)

文:M&A Online編集部

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