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【USEN/U-NEXT】経営統合で問われるオーナー経営者の力量

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Photo by gimyzr

2017年12月に経営統合を控えるUSENとU-NEXT

 U-NEXTでは、2015年9月に東芝より電子書籍サービス「Book Place」を事業承継した件が公開されているのみである。そこで、USENによる買収・譲渡の一例と、U-NEXTとUSENの経営統合の点について掘り下げて見てみよう。

 まず業務用カラオケ関連事業を行っていたユーズ・ビーエムビーエンタテイメント(旧・日光堂)である。2000年10月にUSENが業務用カラオケに関する企画、開発、製造、楽曲配信事業を譲渡するとともに出資し、USENのグループ会社となった。

 さらにUSENから同社に対しては2003年6月には大手カラオケルームチェーン店及び居酒屋チェーン店等に対するカラオケの販売事業を譲渡、同年8月にカラオケ店舗運営事業等を譲渡し、カラオケ事業の一元化をグループ会社内で図っていた。その時期に、今後のカラオケ関連事業の発展を見込み、2004年1月に同社を子会社化した。

 その後、日光堂の社名がBMBと変更され、2010年5月、経営体質の強化を行うため集中と選択の判断を再度検討する中、カラオケ事業については改めて非中核事業と再定義し、ブラザー工業の子会社であるエクシングに株式を1円で譲渡した(BMBのUSENに対する債権債務を引き継ぐため、実質の買収額は230億円)。

 次にギャガ・コミュニケーションズについてである。USENは2004年12月にブロードバンド事業、カラオケ事業等におけるコンテンツ面での優位性を確立するため、ギャガ・コミュニケーションズの第三者割当増資を引き受け、100億円で54.42%を取得し子会社化した。また2006年10月には、映像・コンテンツ事業分野における戦略的提携の取組みをさらに深化・加速させ、良質なコンテンツの厳選買付・配給及び自社製作等を積極的に展開するために、株式交換により完全子会社化した。

 しかしUSENは、のれんの減損損失や事業撤退損失等の多額の損失を計上するに至る。放送・業務店事業を軸とした事業強化を図る中、ギャガ・コミュニケーションズを2009年にギャガの代表取締役会長である依田巽氏が代表を務めるティーワイリミテッドと、木下工務店のグループ会社で投資用マンションの分譲事業などを行うキノシタ・マネージメントへ2億円で売却することとなった。

インテリジェンスとのシナジーは思惑が外れる結果に

 では、宇野康秀氏が創業した総合人材サービス会社であるインテリジェンスを見ていこう。USEN は、2006年7月にはインテリジェンスを300億円で完全子会社化した。インテリジェンスとしては新規広告媒体としてUSENのGyaOを活用し、またUSENとしては、人材紹介・アルバイト求人サービスを利用する20代から40代の男性・女性層を積極的にGyaOユーザーとして取り込むことを狙ったようだ。

 だが、その狙いは実現しなかった。USEN は事業の選択と集中を推進する中、インテリジェンスを2010年7月に米PEファンドであるコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下のメティスに325億円で譲渡する(KKRは2013年に保有株式を同業の人材派遣会社であるテンプスタッフホールディングスに680億円で売却した)。

 このような2009年、2010年の譲渡ラッシュの中、不採算事業からの撤退のため2010年12月に分離独立することになったのがU-NEXTである。U-NEXTは当時、テレビ向けに映像配信事業を行っていたが、その後パソコン、スマートフォン、タブレット向けに事業展開・拡大し、東証マザーズ、そして東証一部へと駆け上がった。

 そんな中、今回の経営統合の話が浮上した。U-NEXTは映像配信という成長市場において実績を作り、さらなる飛躍のためにより安定した事業規模にしていく必要がある。一方でUSENは事業の安定化こそ達成したものの、成長市場に踏み込めていないという現状がある。こうした相互の欠点を経営統合により相互に補える、と判断したようだ。これは次項に紹介する財務分析を見るとすんなりと理解ができる。

 なお今後は、両社の事業をぶら下げる形で持ち株会社化を行い、USEN-NEXT HOLDINGSとして再出発をするとのことだ。

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