武田薬品工業<4502>が2018年5月8日、アイルランドの大手製薬メーカーであるシャイアーを総額約460億ポンド(約6兆8000億円)で完全子会社化することで合意した。これが実現すれば日本企業によるM&Aでは過去最大になると同時に、武田薬品は国産製薬メーカーでは初めて売上高で世界のトップ10に入る。さて、武田薬品が買収するシャイアーとは、どんな会社なのか?

32年前はたった4人のベンチャーだった

シャイアーの設立は1986年、今から32年前だ。4人の起業家が設立した製薬バイオベンチャーだった。最初に開発したのは骨粗鬆症(こつそしょうしょう)用の薬品だったという。

当初の本社は英ハンプシャー州のベイジングストークにあったが、2008年に英国政府が特許使用料課税を打ち出すとシャイアーは本社をベイジングストークからダブリンに移転した。登記上の本店はタックス・ヘイヴン(租税回避地)であるチャンネル諸島のセント・ヘリアに置いており、納税負担にはシビアな企業のようだ。

シャイアーにとって成長の原動力はM&Aだった。1997年に徐放性ドラッグデリバリー製品の米ファーマビンを1億7000万ドル(約185億円)で、同年に注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療薬のリッチウッド・ファーマシューティカルを1億8600万ドル(約202億円)で買収。

21世紀に入ってもM&Aの勢いは衰えず、2001年にADHD治療薬の加バイオケム・ファーマシューティカルを25億ポンド(約3680億円)で、2005年にリソソーム蓄積疾患治療薬を持つ米バイオ医薬品のトランスカリオティック・セラピーズ(TKT)を16億ドル(約1740億円)で、2007年にADHD治療薬の米ニューリバー・ファーマスーティカルズを26億ドル(約2830億円)で、2008年には遺伝性血管性浮腫治療薬の独ジェリニを5億2100万ドル(約567億円)で、それぞれ買収するなど、設立から20年あまりで20社以上を傘下に収めた。

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希少疾患向け治療薬で世界をリードするシャイアー
希少疾患治療の現場を支えるシャイアーの医薬品(同社ホームページより)