2018年4月9日、日本サッカー協会はヴァイッド・ハリルホジッチ代表監督を解任し、後任に同協会の西野朗技術委員長が就任すると発表した。その10日前の3月30日、中小型液晶パネルを製造するジャパンディスプレイ(JDI)<6740>は新たな経営再建策として約550億円の資金調達を発表し、従来型の液晶から有機ELへのシフトを見直すことを明らかにした。サッカー代表監督電撃解任翌日の10日には、資金調達の柱となる第三者割当増資の発行価格が決まった。一見、全く違う話のようだが、実は今回の監督解任とJDIの再建策には意外な「共通点」がある。

忘れられた前回W杯の「教訓」

「(ハリルホジッチ前)監督は(1対1での)強さ、速さ、推進力を求めて強く発信してきたが、それに追いつかない部分があった。ないものを求めるよりも、あるものを良くしていく。そこで勝負した方が早い」と、西野新監督は就任の抱負を語った。だが、前監督が言うところの「デュエル」(1対1)での強さや速さは今や世界サッカーの標準で、日本の持つ「規律を持って組織的に戦える強み」(西野新監督)は通用しない可能性が高い。

西野新監督の「日本サッカーが積み上げてきたものがある。技術的に世界で通用する部分はたくさんある」という考え方は、2014年のW杯ブラジル大会でアルベルト・ザッケローニ元代表監督が進めた「ボールを支配する時間を長くして主導権を握り、テクニックと組織力、インテリジェンスを駆使しながら、相手の守備網を突き崩す」戦略と何ら変わりはないと思われる。

しかし、日本代表チームが「自分たちのサッカー」と呼んだこの戦法は、前回のワールドカップでは全く歯が立たなかった。ボールポゼッションが68%に達したギリシャ戦ですら、引き分けに終わっている。この時の反省から日本代表チームはハリルホジッチ前監督による「デュエルでの強さ、速さ、推進力」、そして「自分たちのサッカーを貫く」のではなく「相手によって猫の目のように戦い方を変えるサッカー」に方向転換したはずだった。

ハリルホジッチ監督
親善試合の不振と選手からの反発で電撃解任されたハリルホジッチ前監督(Photo By Clément Bucco-Lechat)