米ゼロックスは5月3日、富士フイルムホールディングス(HD)<4901>による買収計画を見直すとする大株主との和解案が失効したと発表した。和解案の合意を発表してわずか2日で白紙に戻る異例の展開だ。これにより、ジェフ・ジェイコブソンCEO(最高経営責任者)ら7人の経営陣は一転して留任することになった。ロイター通信によると、ゼロックスは、富士フイルムHDによる買収差し止めを求めて大株主が起こした訴訟の和解案の一環として、同CEOらの退任に合意していたが、この合意の期限が切れた、と説明している。

米NY州裁判所が和解案の承認を保留

富士フイルムHDは1月末、米ゼロックスの買収を発表した。子会社の富士ゼロックスと米ゼロックスを経営統合したうえで、新会社の株式の過半数(50.1%)を取得し、9月までに子会社化するという内容。これに対し、ゼロックスの筆頭株主で著名投資家のカール・アイカーン氏と同じく大株主で実業家のダーウィン・ディーソン氏の2人が米ニューヨーク州の裁判所に買収の差し止めを求める訴えを起こし、4月末に買収差し止めの仮処分が決定した。

ゼロックス側は買収に反対する大株主2人との和解案として、買収交渉を主導してきたジェイコブソンCEOのほか、取締役6人が退任し、後任に反対派が推す候補が就任することで合意したことを5月1日に明らかにした。これに対し、富士フイルムHDは「(経営統合に関する)当該契約はゼロックスの取締役会の構成員の変更にかかわらず法的拘束力を有するものであり、新たに選出される取締役のメンバーにも、契約の履行を求める」とのコメントを発表。さらに、ニューヨーク州裁判所の判決は不服とし、上訴した。

和解案の発効は裁判所の承認が前提。裁判所が5月3日午後8時(米東部時間)までに行動を行さなければ、合意は失効することになっていたという。3日、和解案に関する富士フイルムHDの異議申し立てを審理したが、裁判所は承認の判断を保留。この結果、合意は期限切れとなった格好だ。

二の矢三の矢は必至、9月買収完了は困難か

買収に賛同するジェイコブソンCEOら現経営陣が当面とどまることになったのは富士フイルムHDにとっては朗報。ただ、これで事態が収まるとは到底考えられない。物言う投資家で知られるアイカーン氏らは引き続き、“反対闘争”を続けていく姿勢を崩しておらず、二の矢三の矢が飛んでくるのは必至の情勢だ。買収計画の行方が混迷を深める中、9月までに買収を完了するという当初スケジュールの実行は極めてハードルが高くなってきたといえる。

文:M&A Online編集部