武田薬品工業<4502>がアイルランドの製薬会社シャイアー買収に向け、社員の交流を進め、シャイア―との経営統合後の執行体制「新タケダ・エグゼクティブチーム」のメンバーを選出していることが分かった。
武田薬品工業は2018年10月31日に東京・日本橋のグローバル本社で開いた2019年3月期の第2四半期決算説明会で、シャイアー買収に関する新たな情報を開示した。
公表した新タケダ・エグゼクティブチームのメンバーは武田薬品のクリストフ・ウェバー社長CEOをはじめとする武田薬品から選出された18人に、シャイアーの研究開発部門の女性2人が加わった20人。シャイアーの2人はグローバルプラズマディライブドセラピービジネスユニットとグローバルペイシェントバリュー&プロダクトストラテジーのトップに就く。
決算に影響する数字については、2019年3月期中に発生するシャイアーの買収費用が400億-600億円になり、のれん代は4兆-4.4兆円、無形資産が6.3兆-6.7兆円になるなどの見通しを明らかにした。
さらにシャイアー買収後は年間4000億円を超える研究開発投資が可能になり、武田の研究開発力が強化されるとしている。
2019年1月18日までに臨時株主総会を開催し、シャイアー買収を決議するという。
一方、買収に反対している武田薬品のOB有志の株主を中心に約130人で組織する「武田薬品の将来を考える会」が提出した質問状については、ウェバー社長CEOは「質問には今回の新たな情報で答えられる」とした。
さらにウェバー社長CEOは「シャイアー買収に関する情報は全ての株主に同じ情報を提供する」とした上で、「他の株主同様、話し合いにも応じる」との考えを示した。
「武田薬品の将来を考える会」は2018年10月31日までに、①本件買収に伴う借入金の返済計画はどうなっているか。また買収後の1株当たりの利益(EPS)をどう予想するか。 ➁収益の基幹である血液製剤の分野で今後苦戦が確実視されるシャイアー社に65%もの高額なプレミアムを設定した根拠は何か。
③本買収案件に関する取締役会議事録と取締役各位の発言内容を開示していただけるか。 ④武田薬品の持続的成長にとって、シャイアー社買収が唯一の手段でしょうか。という4つの質問を会社側に投げかけていた。
文:M&A Online編集部
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