自動車部品大手のカルソニックカンセイ(さいたま市)が欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の自動車部品子会社マニエッティ・マレリを62億ユーロ(約8060億円)で買収することが明らかになった。

マレリ買収が成功する可能性は低い

売上高は現在の2倍の約2兆円となり、世界第7位の独立系自動車部品メーカーとなる。カルソニックカンセイは今回の買収によって販路・調達面での相互補完を図り、コスト削減を狙うという。果たして今回の買収はカルソニックカンセイにとって「吉」と出るのか。

残念ながらその可能性は低い。そもそもFCAが独ボッシュやデンソー<6902>と並ぶ自動車用電装部品の名門であるマレリを売却した理由は、主力製品の燃料噴射装置やディーゼルエンジンの電子制御ユニット(ECU)が、電気自動車(EV)化が進む自動車業界において遠からず必要な部品ではなくなるためだ。

マレリの主力製品はエンジン回りの部品(同社ホームページより)

しかも、FCAが余剰人員をマレリへ移籍させているともいわれており、カルソニックカンセイが「損切り」に利用された可能性すらある。カルソニックカンセイもエンジン冷却装置である自動車用ラジエーターメーカーとして成長してきた。EV化が加速し「脱エンジン」が進めば、経営環境は厳しくなる。

つまり、エンジン依存の部品メーカーであるマレリを買収しても、製品や経営資源のポートフォリオ(組み合わせ)は変わらない。要は既存製品での市場シェア拡大と、スケールメリット(規模の優位性)によるコスト削減効果しかないということだ。