自動車部品大手のカルソニックカンセイ(さいたま市)は欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の自動車部品子会社マニエッティ・マレリを買収し、事業統合することになった。買収額は62億ユーロ(約8060億円)で、日本企業がかかわるM&A案件として今年2番目にランクされる。こうした大型買収を主導したのが米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)だ。

ルネサスを上回る今年2番目の大型買収

今年の金額トップは武田薬品工業が6兆8000億円を投じるアイルランド製薬大手・シャイアーの買収で別格といえるが、これに次いでいたルネサスエレクトロニクスによる米半導体インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)の買収(7330億円)を730億円上回った(次ページに2018年の買収金額上位ランキング一覧表)。

カルソニックカンセイ本社(さいたま市)

カルソニックは長年、日産自動車の子会社だったが、2017年3月にKKRの傘下に入った。カルソニックの親会社であるCKホールディングス(さいたま市)がマニエッティ・マレリを2019年6月までに買収を完了する予定。

CKホールディングスはKKRが設立した持ち株会社で、カルソニックの株式を100%保有している。今回の買収に伴い、CKホールディングスは「マニエッティ・マレリCKホールディングス」に社名を変更し、持ち株会社のもとでカルソニックとマニエッティの事業を統合する。

売上高は現在の2倍の約2兆円となり、世界第7位の独立系自動車部品メーカーが誕生する。販路・調達面での相互補完を通じてコスト削減などによる競争力向上を目指すとともに、自動運転をはじめとする先端分野での技術開発で優位に立ちたい考えだ。統合後の新会社はカルソニックの現CEOであるベダ・ボールゼニウス氏が日本を拠点に経営に当たる予定。

カルソニックは1938年設立で、コックピット(運転席)モジュール、熱交換器、排気システムや電装品を手がける。2018年3月期の売上高は9986億円。世界に約80の生産拠点を持つ。

一方、マニエッティは1919年設立で、イタリアのミラノに本社を置く。照明、パワートレイン、電装品、サスペンションなどのほかモータースポーツ関係を得意とする。イタリアの自動車大手、フィアット系列で、直近売上高は82億ユーロ(1兆660億円)。フィアットは2014年に米クライスラーを買収し、FCAとして今日にいたる。

言うまでもなく、投資ファンドにとっては、いかに投資を上回るリターンを獲得するかが最大のポイントだ。KKRは買収先のカルソニックを足場に今回、世界的なスケールの大型M&Aに仕掛けた形だが、将来予想される投資資金の回収に際しては国境を超えた業界再編につながる可能性をはらむ。

KKRの日本での活動を見てみることにしよう。