武田薬品工業<4502>がアイルランドのバイオ薬品メーカー・シャイアーの買収(買収金額は約460億ポンド=約6兆8000億円)のため、JPモルガン・チェース・バンクNA、三井住友銀行、三菱UFJ銀行から合計308億ドル(約3兆3500億円)を借り入れる。

武田薬品の2017年3月期の売上高は1兆7320億円、当期純利益は1149億円。有利子負債は1兆円ほど。このような数値状況で3兆円を超える借り入れを行って果たして大丈夫なのだろうか。誰しもがこのような疑問を持つことだろう。

9日の株式市場では武田薬品株は前日比109円安の4529円で取引を終えた。下げ幅は2.35%と小幅で、投資家の買収への期待と不安が見え隠れする。巨額の借金を抱えることへの不安と、買収後は世界の薬品業界のトップ10以内に入ることへの期待との綱引きとなったようだ。

当の武田薬品は巨額の借り入れに対しては強気だ。8日に発表した資料では「買収後初年度から力強いキャッシュフローを創出する」とし、3度同じ表現で買収後のキャッシュフローの好転を訴えている。さらに買収3年後には年間に14億ドル(約1525億円)のコスト削減が可能になるともしている。

この根拠は示されていないが、一つはシャイアーの収益力の高さにあるとみてよさそうだ。シャイアーの2017年12月期の売上高は約1兆6555億円で、武田薬品とほぼ同水準だが、純利益は約4600億円と武田薬品の4倍ほどある。シャイアーが武田薬品にはない、希少疾患分野で強い専門知識を持つことが高収益体質のベースにあるといわれている。

もう一つはシャイアーの持つ開発中の治療薬にありそうだ。8日に発表した資料にはシャイアーは開発の中期段階や後期段階の治療薬を保有しているとあり、これら治療薬はそう遠くない時期に売り上げにつながる可能性が高い。

一方の武田薬品は早期開発段階や研究段階の治療薬を保有しており、これらは少し遠い時期に売り上げに貢献することになる。このことから武田薬品独自の治療薬が稼ぎ出すまでの期間をシャイアーの製品が埋めてくれることに大きな魅力を感じていると読み取ることができる。