全固体電池EVに期待をかける経産省

その背景には2018年4月に発足した経産省の「自動車新時代戦略会議」がある。同会議の委員にはトヨタの豊田章男社長はじめ、自動車メーカーや自動車部品メーカーのトップが就任が就任。4カ月後の8月に発表した「中間整理」では、「究極のゴールとしての“Well-to-Wheel Zero Emission”チャレンジに貢献していく」と、自動車だけでなく発電まで含めた温室効果ガス排出量ゼロを目指すと宣言している。

2050年をにらんだ次世代環境車の長期ゴールを検討する「自動車新時代戦略会議」(同省ホームページより)

実はこの「Well-to-Wheel」という概念は、EVの普及に懐疑的な主張で用いられてきた経緯がある。要は「発電で二酸化炭素を出しているわけだから、EVは完全にクリーンではない」という理屈だ。だが、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの比率は高まっており、こうした電力を使えばWell-to-Wheelはゼロ。世界の温室効果ガス排出量を減らすことができる。ガソリンエンジンを搭載するHVで、どうやって「Well-to-Wheel」ゼロを実現するのか。

しかし、中間整理には注目すべき内容が盛り込まれていた。「次世代電動化技術のオープン・イノベーション促進」の筆頭に「全固体電池」が名指しされているのだ。通常、こうした政策目標では「次世代型電池」のようにぼかした表現をするのが普通。トヨタ1社だけが技術を確立した全固体電池を政策の一丁目一番地として取り上げるのは珍しい。