厳しい環境に立つフジメディアであるが、財務を見てみると、同社の総資産は16年3月期で1兆1364億円、自己資本比率も減少傾向にあるものの55%と問題ない水準である。
メディア関連で一人負けしている同社にとって、メディア事業の強化は喫緊の課題となるものの、数年間利益が減少し続けているメディア事業が一気に利益が取れるようになることは難しい。そのため成長分野への投資が必要になろう。
今でこそ珍しくはないが、13年2月にフジメディアはテレビ局では珍しく総額で15億円を投資するベンチャーキャピタル(フジ・スタートアップ・ベンチャーズ)を設立した。スマホ向けアプリの開発や放送と連携できるネット企業の囲い込みや育成を目的として設立したが、キャピタルゲインを得ることを主眼とする銀行系ファンドと異なり、いかに協業できるかというところに主眼を置いている。今現在ではゲーム、学習コンテンツ、マーケットプレイスなどベンチャー企業14社に出資し、新たなメディアコンテンツ価値創造を目指している。
また、自社においても16年4月にスマートフォン及びPC向けゲームの企画運営などを行うフジゲームズを設立した。テレビ局がゲーム会社を持つことは珍しく、新たな柱をつくろうとする同社の気概を感じる。
さらなる多角化を目指し、新たなことに挑戦を続けるフジメディアの次の一手はどのようなものになるのだろうか。
この記事は、有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。
まとめ:M&A Online編集部
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