【M&A戦略】がん・OAB・移植領域の強化を軸

アステラス製薬の沿革と主なM&A

年月 内容
2005年4月 山之内製薬、藤沢製薬の合併によりアステラス製薬発足。
2006年4月 アステラスファーマケミカルズ株式会社を簡易分割により新設分割。資産および負債を承継し、全株式をアステラス製薬に割当交付。
2006年4月 子会社ゼファーマ社の全株式を355億円にて第一三共へ譲渡。
2006年10月 生産子会社アステラス東海とアステラス静岡、ならびに治験薬製造子会社であるアステラスクリニカルサプライを合併。この合併により、アステラスグループの医療用医薬品生産子会社は、アステラス富山、アステラス東海、アステラスファーマケミカルズの3社に集約される。
2006年12月 子会社アステラス保険サービスの保険代理店事業を銀泉に一部譲渡、ならびに解散。
2007年3月 子会社ホシエヌ製薬の全株式を長生堂に譲渡。譲渡価格は非公表。
2007年11月 米バイオベンチャーAgensys,Incを387百万ドルにて買収。本取引により、癌領域での抗体医薬の事業化を目指す。
2009年3月 米医薬品会社CV Therapeutics社に対し、1株あたり16ドルの現金での株式公開買付けを提案。一方、CV Therapeutics社は1株あたり20ドルでの買収合意。買収価格の水準の違いにより、買収提案は終結。
2009年7月 米医薬品会社マキシジェン社との合弁会社設立。アステラス製薬は10百万ドル出資し、約17%の持分を取得。これにより、自己免疫疾患治療剤ならびに臓器移植時の拒絶反応抑制剤のMAXY-4の開発協同関係を拡大。合弁会社設立に伴い、マキシジェン社は、同社が保有する基盤技術「MolecularBreeding™」、付随する蛋白質発現技術を使用するための一定のライセンスを合弁会社に許諾する。
2010年6月 米医薬品会社OSI Pharamaceuticals社を約40億ドルにて買収。癌領域における複数の新薬開発化合物を開発パイプラインに有しており、アステラス製薬に癌領域が加わるとともに、製品ポートフォリオ及び開発パイプラインの拡充が期待できる。
2010年10月 子会社アステラス東海、アステラス富山、並びにアステラスファーマケミカルズを合併。3社が保有する6工場の経営を1つとして、効率的な意思決定・運営体制構築を目指す。
2013年5月 米バイオテクロノロジーアムジェン社と合弁会社アステラス・アムジェン・バイオファーマ社を設立。アステラス製薬は49%出資し、これによりアムジェン社の5つの開発品を日本での共同開発・商業化の長期提携となる。
2013年12月 子会社アステラスファーマテックの富士工場事業を会社分割により日医工へ事業承継。高品質な医薬品の安定供給を効率的に行うことを目指す。
2015年10月 日本マイクロバイオファーマ社に清須工場を譲渡。生産・技術機能の一層の高質化・効率化を目指す。
2015年11月 グローバル皮膚科事業をデンマーク製薬会社LEO Pharma社に6億7,500万ユーロで譲渡。本事業譲渡により、プロトピック®(日本は除く)、及びEMEA地域で販売しているにきび・皮膚疾患症を対象としたローカル製品から構成されるグローバル皮膚科製品群に関する資産及び関連権利義務を譲渡する。なお、アステラス製薬は本事業譲渡により、再投資による新薬創出力の強化を図る。
2016年2月 米バイオテクノロジーOcata Therapeutics,Incの発行済全株式を取得。1株あたり8.5ドルとして公開買い付けを行った。取得価額は約384百万米ドル。本取引により、Ocata社の治療用細胞創製力とアステラスの研究開発基盤の融合により、眼科領域でのプレゼンスの確立を目指す。
2016年8月 子会社アステラスファーマテクロノジーズの全株式をAvara社へ譲渡。本取引により、オペレーションの一層の効率化・効率化を図る。

 アステラス製薬は、主要領域であるがん・OAB・移植領域の強化を軸にM&Aを行ってきた。3領域にシナジーが見込めるものに対してM&Aを行ってきた一方、シナジーが見込めないものに関しては積極的に株式譲渡を行っている。

 アステラス製薬のM&Aは、譲渡価額が非公開になっているものも多いが、公開されている譲渡価額はどれも大規模である。主要3領域を補完していくM&Aが顕著にみられるが、例えば、癌領域ではAgensys,Incの買収(2007年11月)、OSI Pharamaceuticals社(2010年6月)の買収、合弁会社アステラス・アムジェン・バイオファーマ社設立では癌領域の3薬剤を補完していることなど、M&Aにより新規開発の強化を図っている。こういった経営戦略により、強化された癌領域の売上はアステラス製薬の成長に寄与している。

 一方、オペレーションの効率化を理由に製造工場や3領域に遠い事業を順次譲渡している。譲渡によって得た資金を、主要領域を発展させる事業に投資するサイクルが特徴的だといえる。