匿名組合で迅速に太陽光発電所を全国展開

匿名組合とは「組合」とはいうものの団体ではなく、法的には営業者が匿名組合員から集めた財産を運用して利益をあげ、これを分配する双務契約のこと。当然ながら法人格はない。匿名組合にはパススルー課税という税制上のメリットがある。パススルー課税とは配当する利益を、課税前ベースで出資者へ分配できる形態を指す。つまり匿名組合の出資を受けた太陽光発電事業者は法人税を支払う必要がないのだ。

福島原子力発電所事故と地球規模の温暖化抑制を受けて「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT 法)が施行され、2012 年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT=Feed In Tariff)が始まった。初年度の買取価格は1kWh当たり40円(税別)と高額だったため、新規参入が殺到、さながら「太陽光バブル」となる。

そのため匿名組合への出資者も多く資金調達が容易だったこと、子会社に比べて太陽光発電事業者の法人税を低く抑えることができるため短期間のうちに多数の発電所設立が可能になるなどのメリットがあった。つまり、太陽光発電の「スタートダッシュ」に有利な仕組みだったのだ。レノバは匿名組合を利用することで、短期間のうちに太陽光発電所の全国展開を達成した。

一方で匿名組合のデメリットもある。パススルー課税を受けるためには利益の大半を配当しなければならず、内部留保はほとんどできない。立ち上げ時は良くても、事業を成長させるには不向きなのだ。そこでレノバは匿名組合で立ち上げた太陽光発電事業者を相次いで持分法適用会社や連結子会社に改組していく。

2019年3月に稼働した「四日市ソーラー発電所」。現在はレノバの完全子会社となっている。(同社ニュースリリースより)

2017年4月に大津町ソーラー発電所を保有する大津ソーラー匿名組合事業の出資持分を6億円で追加取得して完全子会社化。2019年3月には自社の持分法適用関連会社で運転を開始したばかりの四日市ソーラー発電所(三重県四日市市、発電容量21.6MW)を保有する四日市ソーラー匿名組合株を芙蓉総合リースから4億800万円で取得し、出資比率を38%から100%に引き上げて完全子会社化している。