経営統合“破談”の苦い経験も

実は、加賀電子にはM&Aをめぐる苦い経験がある。2015年11月、同業のUKCホールディングス<3156>と経営統合することで基本合意した。同じ年の4月には、マクニカと富士エレクトロニクスが持ち株会社方式で経営統合し、「マクニカ・富士エレホールディングス」が発足したばかりだった。

加賀電子が秋波を送ったUKCホールディングスはソニーを主要調達先とするメーカー系で、規模もほぼ同じ、顧客や取り扱い製品などの重複も少なく、似合いの“カップル”とみられていた。統合が実現すれば、「5000億円」企業が誕生するはずだった。

ところが、翌16年4月、経営統合の中止を発表した。資産査定後の最終的な詰めの段階で合意に達せず、破談になったのだ。

時は移って18年9月。加賀電子は富士通エレクトロニクスの子会社化を発表した。パートナーの顔ぶれは変わったが、数年来の宿願を果たした。

この数日後、奇しくも、かつての相手先であるUKCホールディングスがバイテックホールディングス<9957>との経営統合を発表した。バイテックもソニーが主要調達先の一つ。UKCはバイテックを吸収合併し、統合新会社「レスターホールディングス」を4月に発足させる。ここへきてエレクトロニクス商社再編の動きに改めて火が付いた格好だ。

商社ビジネス拡大、EMSの加速につなげる

加賀電子は4月から3カ年の「中期経営計画2021」をスタートさせる。富士通エレクトロニクスの子会社化を踏まえ、最終年度の2022年3月期(21年度)に売上高5000億円、営業利益130億円、ROE(株主資本利益率)8%以上を目標とする。

富士通エレクトロニクス買収の目的は、電子部品を中核とする商社ビジネスの量的拡大による業界トップ企業の実現にある。中期的にはEMSビジネス拡大による収益向上を目指している。富士通エレクトロニクスが強みとする車載、通信、IoT(モノのインターネット)関連の商材をEMSビジネスに取り込み、新技術や新たな市場ニーズへの対応を強化する。

足元の2019年3月期は売上高22.9%増の2900億円、営業利益5.2%減の77億円、ROE9.9%を見込む。売上高には富士通エレクトロニクス子会社化の寄与分580億円を織り込む。ただ、利益面への寄与は限定的としている。

〇「中期経営計画2021」の経営目標

19/3期見通し22/3期目標
売上高2,900億円5,000億円
営業利益77億円130億円
ROE9.9%8%以上