EMSで40年の実績を積む

加賀電子の売上構成をみると、電子部品73%、情報機器(パソコン、周辺機器など)20%、ソフトウエア(CG映像制作など)1%、その他(修理業務、スポーツ用品販売など)6%。現在、EMSは電子部品事業に括られているが、4月から始める新中期計画では従来の開示セグメントを組み替え、EMSを独立させる。

売上高5000億円時点の売上構成のイメージはこうだ。電子部品60%、EMS28%、CSI(従来の情報機器とソフトウエアを統合)10%、その他2%を想定している。中核の電子部品事をさらに強固なものとし、これに続く主力事業のEMS拡充を推し進めるシナリオが見てとれる。

新中計では成長戦略の重点テーマとして、EMSビジネス強化に向けた海外拠点拡充を打ち出している。昨年、メキシコ、ベトナム、トルコに新拠点を開設。今春には世界15番目の自社工場となるインド拠点の稼働を控えるが、富士通エレクトロニクスの子会社化を弾みにさらに攻勢に強める構えのようだ。

“親子関係”見直しも今後浮上へ

加賀電子はEMSビジネスで40年の経験を積んでいる。当初は国内の協力工場に生産を委託する形でスタートし、1999年に中国・深圳に初の自社工場を立ち上げた。製品の設計開発から完成品(基板実装、半完成品を含む)までの生産をワンストップで提供する体制を確立。顧客ニーズの変化に伴い、近年は通信・IoT関連機器や医療機器といった新分野にシフトが進んでいる。

新規事業の創出も課題の一つ。保育、福祉、介護など社会課題や素材分野でのビジネスを模索中で、M&Aを積極的に活用する方針だ。ベンチャー投資も50億円(3年)の枠で取り組んでいる。

エレクトロニクス商社はサプライヤーである半導体、電子部品メーカーの再編や国内市場の縮小、完成品組み立ての海外シフトなどで厳しい事業環境に直面し、企業間競争が激しさを増している。こうした中、富士通エレクトロニクス子会社化の動きが業界再編の引き金になる可能性もある。

また、富士通エレクトロニクスとの経営統合の形も現在も親子関係から、数年後には親会社による合併、共同持ち株会社への移行などの選択を迫られることになりそうだ。

加賀電子は昨年、設立50年の節目を迎えた。次の50年に向けて今回の大型買収が「世界に通用する企業」への跳躍台となるのか。まずは、そのカギを握るのがシナジー(相乗効果)創出などポストM&Aの取り組みといえよう。

沿革と主なM&A
1968 東京・秋葉原に加賀電子を設立
1986 東証2部上場
1997 東証1部上場
   
2001 電子部品販売のユニオン商事(東京)を子会社化
2002 エー・ディーデバイスとユニオン商事が合併し、エー・ディーデバイス(東京)に
2003 コンピューターグラフィック制作のデジタル・メディア・ラボ(東京)を子会社化
2005 カメラ関連製品卸商社の樫村(東京)を子会社化
2006 プラスビジョン(東京)からプロジェクター事業を取得
電子部品販売の大塚電機(川崎市)を子会社化
2008 半導体商社のエー・ディ・エム(大阪市)をTOBで子会社化
2009 電気通信工事の東京電電工業(現加賀テクノサービス、東京)を子会社化
2011 加賀テックと大塚電機が合併し、加賀テック(東京)に
2013 加賀デバイスとエー・ディ・エムが合併し、加賀デバイス(東京)に
2015 11月、UKCホールディングスと経営統合で合意(翌年4月、白紙に)
2016 加賀ソルネットと加賀ハイテック(前身は樫村)が合併し、加賀ソルネット(東京)に
2017 パワー半導体用SiC基板製造子会社のサイコックス(東京)を住友金属鉱山に譲渡
2018 9月、富士通エレクトロニクスの子会社化で合意

文:M&A Online編集部