電動トラックのニコラに出資するGM、ホンダは見捨てられないか

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ニコラとホンダは、きれいに棲み分ける

FCVは乗用車向きではなく、EVは大型トラック向きではないからだ。FCVに搭載する燃料電池は「電池」とは名ばかりで、実は水素と空気中の酸素との化学反応による発電機。仕組みとしてはガソリンエンジンが発電した電力でモーター駆動する日産自動車<7201>の「ノート e-POWER」のようなシリーズ方式のハイブリッド車(HV)と同じだ。

燃料電池という発電機から電力が供給されるため重くかさばるバッテリーは不要で、重量物を運ぶ大型トラックにとってはディーゼルやガソリンなど現行のエンジン車と同等の荷室を確保できるメリットがある。さらにはバッテリーで動くEVトラックよりも航続距離は長く、水素を充填するだけなので電動車ながら充電に比べればチャージ時間が圧倒的に短い。

その半面、燃料となる水素を供給するスタンドは整備されておらず、「足りない」と言われているEVの急速充電スタンドよりもはるかに少ないのがデメリットだ。

しかし、商用車である大型トラックの場合は、自社の物流拠点であるトラックターミナル間を行き来するだけの「線移動」だ。トラックターミナルにさえ水素スタンドがあれば、運用上の問題はない。ニコラの大型トラックはFCVが主流になる。

FCVトラックの「NIKOLA ONE」(同社ホームページより)

ホンダが生産する小型の乗用車にFCVを搭載しても、水素スタンドが普及しない限り販売は見込めない。「面移動」の乗用車では、家庭や会社でも充電可能なEVの方が適している。ニコラの「バッジャー」にFCVバージョンはあるが、全長約6メートルもある大型車だ。ホンダにこのサイズの車種はなく、GMの「ハイドロテック」燃料電池システムを採用する可能性は低い。

GMの「電動車生態系」で、ニコラとホンダはきれいに棲(す)み分けることになるだろう。GMからみれば「FCVのニコラ」「EVのホンダ」というパートナーを得て、同社の電動車戦略はひとまず「完成」したことになる。

文:M&A Online編集部

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