東日本旅客鉄道(JR東日本)<9020>は、20億円を投じて千趣会<8165>の10.98%(議決権比率12.46%)の株式を取得する。

千趣会については、経営を支援していた地域経済活性化支援機構(東京都千代田区)が、千趣会の2019年12月期の営業利益が黒字化し、事業再構築にめどが立ったとして、2020年7月に支援を終了したばかり。

ただ2020年12月期は新型コロナウイルスの影響で再び赤字転落が見込まれることから、JR東日本が新たな協力企業として、両社のEC(電子商取引)事業や会員基盤の強化に取り組むことになった。 

果たして通販事業者と鉄道事業者のコラボは成果を上げることができるだろうか。 

顧客の相互送客に注力 

千趣会は、月間約1100万人がネット通販サイト・ベルメゾンネットを利用しており、商品の購入者数は年間約2400万人に達する。一方、JR東日本は、約190カ所の駅ビルなどの商業施設を保有しており、約1200万人のポイント会員が存在する。

両社はこうした財産を融合させ、顧客の相互送客につなげていく計画で、JR東日本が運営するECサイトで、ベルメゾン内の商品を取り扱うほか、千趣会の商品開発力を活かしてJR東日本のECサイト用の新商品を開発する。さらに、駅ビルなどにもベルメゾンの店舗を出店する。

また、JR東日本のECサイト内でベルメゾンを利用した際に、ポイントの付与率を高めるほか、ベルメゾン商品を購入する際に、JR東日本のカードで決済することで、JR東日本、ベルメゾン双方のポイントの付与率を高めるなど、両社の会員メリットを高めるという。

地域経済活性化支援機構による支援を終了

千趣会は業績の悪化した2015年に大丸、松坂屋百貨店などを傘下に持つJ.フロント リテイリング<3086>の支援を受け、両社のプライベートブランド商品の共同展開やギフトカタログの開発などに取り組んできた。

その後、業績の悪化が続く2018年にJ.フロント リテイリングと資本業務提携を解消し、新たに地域経済活性化支援機構の支援を受けたが、2019年12月期に3年ぶりに黒字転換したことから、千趣会が地域経済活性化支援機構の保有株式(千趣会株式)を買い取る形で、地域経済活性化支援機構による支援を終えた。

2020年12月期第2四半期は、売上高が前年同期比3.8%減の422億2600万円と微減収にとどまったものの、営業損益は5億6300万円、経常損益28億9800万円、当期損益は30億円のいずれも赤字に陥った。

2020年12月期通期については新型コロナウイルスの影響で業績予想を未定としているものの、第2四半期の状況を踏まえると、赤字転落は避けられない状況にある。

文:M&A Online編集部