インフルエンザとの同時流行に備え、新型コロナウイルスの検査キットの開発が活発化してきた。

高感度で迅速に検査でき、医療スタッフの危険性も低減できるなど、求められる機能は高まる一方。インフルエンザの流行が懸念される冬場に向けて、どのような検査キットが登場するだろうか。

写真の技術で新型コロナをキャッチ

富士フイルム(東京都港区)は写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術を応用した銀増幅イムノクロマト法を用いた新型コロナウイルスの抗原検査キットの開発に乗り出した。

銀増幅イムノクロマト法は、感染初期のウイルス量が少ない時期でも15分以内にウイルスの検出が可能なもので、新型コロナウイルスにも応用できることが確認できたため、検査キットの開発を決めた。

製品化の時期については未定だが、すでに銀増幅イムノクロマト法を用いたインフルエンザウイルスなどの検査装置で実績があるため、早期の実用化が見込まれる。

同検査キットは鼻腔ぬぐい液(鼻孔から2センチメートルほどで採取した検体)などに、新型コロナウイルスが含まれていると、直径0.05マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の金粒子を持つ抗体が新型コロナウイルスと結合し、さらに検出部分に塗布した捕捉抗体とも結合する。

この金粒子に銀が結合し、約100倍の直径6マイクロメートルにまで成長し、目視検出ができるようになる仕組み。横浜市立大学から新型コロナウイルス抗体の提供を受けて、検査キットの開発を進める。

富士フイルムは2011年から銀増幅イムノクロマト法を用いて、インフルエンザなどの検査装置を販売してきた。現在、同検査装置などの開発途上国への供給に向け、各国の研究機関で臨床評価を実施している。

新型コロナとインフルエンザの同時検査が可能

デンカ<4061>は新型コロナウイルスの検査キットで、これまでの鼻の奥で採取した鼻咽頭ぬぐい液に加えて、鼻孔から2センチメートルほどで採取した鼻腔ぬぐい液でも検査が行えるようにした。

これによって受診者の負担を軽減できるほか、医療従事者の管理下であれば、受診者自身による検体採取が可能となるため、医療従事者の感染リスクも低減できる。

また、一度の検体採取で新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの、それぞれのキットでの検査を可能にし、インフルエンザと新型コロナの同時流行に対応できるようにした。

同社では今後、検査感度の向上や判定時間の短縮などの性能や利便性を高めるとともに、インフルエンザと新型コロナを一つの機器で同時に検出できるコンビキットの開発などにも取り組む予定。

政府は新型コロナウイルス向けの簡易な抗原検査を1日平均20万件程度に高める計画で、新しい検査キットの開発は今後も続きそうだ。

文:M&A Online編集部