ウイルスを不活化し、感染力をなくす「フイルム」「塗料」「プラスチック」などの素材が相次いで開発されている。

新型コロナウイルスは会話や咳、くしゃみなどによって発生する飛沫による感染のほか、ウイルスの付着したドアノブや手すり、テーブル、椅子などに触れることでも感染する。

手に触れる物にウイルスを不活化する機能があれば、感染のリスクを下げることができるほか、アルコールなどによるふき取り作業も軽減できる。

そんな頼もしい素材とはどのようなものなのか。

銅イオン、銀イオン、光触媒が活躍

ディスプレーの製作や施工を手がけるリディアワークス(東京都墨田区)は、銅化合物を配合した特殊なフイルム「キルウィルスフイルム」に、新型コロナウイルス量を減少させる効果があることを確認した。

宮崎大学に委託して抗ウイルス性能評価試験を行ったところ、ウイルス量は60分で83.8%減少した。

同フイルムは配合している銅化合物がウイルスと反応して銅イオンを溶出し、この銅イオンが酸素と反応して活性酸素が発生することで、銅イオンと活性酸素の両方がウイルス量を減少させるという。

インフルエンザウイルスでは15分で99%、60分で99.99%の減少が確認されており、東京駅内のコインロッカーの取っ手やボタンに試験導入されるなどの実績もある。

日本ペイントホールディングス<4612>は光触媒を用いた水性塗料に新型コロナウイルスを減少させる効果があることを確認した。

ガーナ大学医学部附属野口記念医学研究所との共同研究で分かったもので、ガラス表面と、塗料表面に新型コロナウイルスを接触させて比較したところ、12時間後に塗料表面ではガラス表面に対し新型コロナウイルスが99%以上減少した。

燃料商社のシナネンホールディングス<8132>の子会社で、銀系抗菌剤の製造や販売を手がけているシナネンゼオミック(名古屋市)は、銀イオンを含む抗菌剤「ゼオミック」を練りこんだプラスチック(ポリプロピレン)を用いた抗ウイルス試験で、ウイルスが大幅に減少することを確認した。

日本繊維製品品質技術センターが抗ウイルス効果を調べたところ、A型インフルエンザウイルスが99.99%以上減少した。

今回はA型インフルエンザウイルスでの成果だが、新型コロナウイルス対策用としても家電やインテリア日用雑貨など幅広い用途が見込めそうだ。

細菌感染の防止効果も

ウイルスが付着したドアノブや手すり、テーブル、便器、エレベーターの押しボタンなどに触わると、手から口を介してウイルスが体内に侵入する。

このため手に触れる可能性のある物はこまめなふき取りが必要となるうえ、時間が経つとふき取りの効果は薄れていく。

これに対し、銅イオンや銀イオン、光触媒は時間の経過で機能が落ちることはなく、長期間、抗ウイルス効果が期待できる。

また、これら物質は新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスはもちろん他のウイルスでも効果があるためノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒、ロタウイルスによる急性胃腸炎なども防ぐことができる。

さらに細菌での効果も確かめられており、腸管出血性大腸菌(O157)や黄色ブドウ球菌などの感染防止効果も見込める。

新型コロナウイルスに対抗する武器は今後も増えていきそうだ。

文:M&A Online編集部