三菱重工業<7011>が国産初の小型ジェット旅客機「スペースジェット(旧・MRJ)」事業を凍結するとの観測が広がっている。同社は2020年6月にカナダの航空機大手ボンバルディアの小型旅客機「CRJ」の保守・販売サービス事業の買収が完了し、完全子会社のMHI RJ アビエーショングループ(MHIRJ、カナダ・ケベック州ミラベル市)を立ち上げたばかり。スペースジェット事業が凍結されれば、MHIRJはどうなるのか?

最悪のタイミングだったボンバル買収

三菱重工は2020年10月23日、「様々な可能性を検討していることは事実ですが、開発の凍結を決定した事実はありません」とのコメントを発表した。それでも「凍結」報道は止まらない。そもそも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで世界の航空会社はどこも経営危機に直面している。保有機種の削減こそすれ、新規調達は止まっている状態だ。

三菱重工業はスペースジェットの「凍結」を否定(三菱航空機ホームページより)

2020年2月には6度目の商用初号機引き渡し延期で「撤退」もささやかれていたが、新型コロナの流行により航空機需要が消滅したことでその可能性がますます高まっている。三菱重工業にとって不運だったのは、ボンバルディアからの事業買収がコロナ禍という最悪のタイミングと重なったことだ。

三菱重工は事業買収の完了に伴い、2021年3月期に500億~700億円規模の減損損失を計上する見通し。これは買収額の5億5000万ドル(約576億円)と同額以上になる。三菱重工は事実上、タダ同然の事業に500億円を注ぎ込んだことになりそうだ。

もちろんボンバルディアが生産したCRJの販売や保守サービスは続くので、MHIRJの事業が停止するわけではない。ただ、三菱重工としてはMHIRJはスペースジェットの販売と2021年にも投入する量産機の保守サービスのために買収した企業だ。