1.米国タイヤ事業

 2005年9月に住友商事と米国住友商事は、米国大手タイヤ販売会社でNASDAQ上場のTBCコーポレーション(以下TBC)を買収する事で同社と合意、12月に買収が完了している。投資額は1300億円を超え、住友商事過去最大級のM&A投資案件となった。

 TBCは、1956年設立のタイヤ販売会社で、年商約 20 億ドル。米国内に 40 カ所の倉庫を有し、卸売事業を行っている他、自営・フランチャイズにより 1175 店の小売チェーンを全米展開している。買収前、住友商事は、傘下のトレッドウェイズ・コーポレーションを通じて住友ブランド及びプライベートブランドのタイヤ卸売業(年商約 400 億円)を行っていた。TBCの買収は、従来のタイヤビジネスのバリューチェーンを小売分野に拡大し事業基盤と収益の飛躍的拡大を狙うものであった。本件は、のれん代として495億円、無形資産として498億円が計上された。

 12年5月には、住友商事とTBCで、年商約1億8400万ドル、米国で自動車修理・メンテナンス事業を展開するマイダスを約250億円で買収、シナジーを実現することで、収益基盤の拡大を目指すとした。

 しかしながら、15年3月期には、業績不振に伴う事業計画の見直しにより、減損損失を219億円計上し、戦略の見直しを迫られている。

2.リース事業

 住友商事のリース事業は、63年に住友商事の不動産関連部門として設立された東西興業が始まりである。68年には住商リース興産株式会社に、69年には住商リースに商号変更し、総合リース事業の展開を始める。オリエント・リース(現 オリックス)の64年設立と近く、住友商事のリース事業は歴史が古い。03年3月には丸紅総合リース(現エムジーリース)の株式を取得、05年5月にジャストイン・レンテック(現SMFLレンタル)の株式を取得し事業を拡大させていった。

 そして07年10に住商リース株式会社は、三井住友フィナンシャルグループの三井住友銀リース株式会社と、住商リースを存続会社として合併し、三井住友ファイナンス&リース株式会社となる。三井住友フィナンシャルグループの持分が55%、住友商事の持分が45%のスタートとなった。また、オートリース事業として住商リースから独立していた住商オートリースは三井住友銀オートリースと合併して、住友三井オートサービスとなった。銀行系リースの「財務」を切り口としたノウハウと、商社系リースの「モノ」「商流」を切り口としたノウハウを結集・融合し、従来型のリースに留まらない取扱商品の多様化、差別化、高付加価値化を推進することにより、高度化するマーケットニーズに的確に応えられるハイクオリティなリース会社を目指すとした。16年3月期の売上高は1兆1478億円で、営業資産4兆1926億円、国内においてオリックスに次ぐ規模を誇る。

 現在、住友商事の持分比率は40%。住友商事の主導権はなくなっているものの、三井住友ファイナンス&リースで15年3月期160億円、16年3月期に173億円、住友三井オートサービスで15年3月期44億円、16年3月期で51億円と安定した持分利益を計上して住友商事の業績を支えている。

 また、16年4月には米国General Electric グループからの日本におけるリース事業を5750億円で買収、飽和状態にある国内リース市場において、事業拡大に意欲的だ。

3.ケーブルテレビ事業

 ケーブルテレビ事業の主体となるのは、ケーブルテレビ局J:COMの統括運営会社のジュピターテレコム。15年3月期の連結売上高は4902億円、有料ケーブルテレビ視聴世帯におけるJ:COMのシェアは47%で国内最大手である。KDDIと住友商事それぞれが50%持分を所有している。

 住友商事は1984 年に新規事業としてメディア事業に進出、その中でもケーブルテレビ事業を中核として展開していった。当初、市町村ごとの運営制限、同一資本の広域事業展開の禁止、中央資本の出資などの法的制限があったが、93年に有線テレビジョン放送法の規制緩和により、同一資本の広域運営、外資規制が緩和された。この規制緩和を受けて、95年、住友商事と米国の最大手ケーブルテレビ統括運営会社であったTCI(現リバティ・グローバル)の合弁によってジュピターテレコムが設立され、住友商事が直接運営していたケーブルテレビ局が集約された。その後、第三セクターのケーブル事業者を積極的にM&Aで取り込み事業を拡大していく。05年にはジャスダックに上場し、M&Aによる更なる事業拡大を目指した。

 10年2月に、リバティ・グローバルの持分をKDDIが取得することでKDDIが筆頭株主となっている。ただし、この取引については、株式公開買付の方法によらない方法であったため、金融庁から指摘を受けることになる。買収前に6.7%相当の株式を信託銀行に信託譲渡し、議決権行使をできないようにする措置がとられた。この点、住友商事としては、心血を注いできたジュピターテレコムについてKDDIに主導権を握られるわけにはいかないため、10年3月に株式公開買付を実施、持ち分比率を27%から40%に高め、筆頭株主となる。

 その後、12年10月にはKDDIと共同公開買付(それぞれ同数の議決権を有するNJ社による公開買付)により、両社折半出資で非公開会社化を発表。13年には、KDDIの完全子会社であるジャパンケーブルネットを買収、14年4月に合併している。

 ジュピターテレコムの15年3月期の持分利益は261億円、16年3月期で287億円、また関連のショップチャンネルの持分利益は、15年3月期で71億円、16年3月期で82億円計上しており、住友商事の利益の相当割合を稼ぐ事業となっている。

4.SCSK

 SCSKは、16年3月期の売上高3239億円、住友商事が50.66%を所有する東証一部上場会社である。

 69年に住友商事の情報システム部門が独立して、住商コンピューターサービス(92年に住商情報システムへ商号変更)が設立される。89年東証二部、91年に東証一部に上場している。05年には、住友商事グループの住商エレクトロニクスと合併を果たし、業界のリーディングカンパニーを目指す。合併後の年商規模は1250億円になる。

 09年には、CSKホールディングスと、業務・資本提携に向けて検討を開始。11年4月には公開買付により、CSKホールディングスの52.4%を取得した。そして11年10月にCSKホールディングスを吸収合併し、SCSKが誕生した。住商情報システムの11年3月期の売上高は1328億円、CSKの11年3月期の売上高1403億円となっており、大企業同士の経営統合となった。CSKは、09年3月期に金融サービス事業の不動産や有価証券の評価損により1230億円の営業赤字を計上し、再編につながった。

 SCSKの15年3月期の持分利益は33億円、16年3月期は90億円と、堅調に推移しており、住友商事の利益に貢献している。