大きな1歩だが、ドアはまだ半分しか開いていない

-産業競争力強化法は会社法の特例、税制改正は3年間の期限付きという内容になっています。これについてはどのようにお考えですか。

「産業競争力強化法は会社法の特例なので、恒久的な扱いにするのであれば、会社法を改正するのが筋。実際に現在、会社法の改正の議論が出ており、株式対価のM&Aが行いやすいように改正される方向で議論が進んでいる。税制については恒久的改正にするのであれば会社法の改正とセットでの議論になるであろう」

-今回の改正で経済産業省は新興企業の自社株対価のM&Aと、大型のM&Aの増加を見込んでいるようです。

「現在、キャッシュリッチの状態にある会社は多く、金利も低いので自社株対価のM&Aの必要性はそれほどではないかもしれない。ただ、新興企業によるM&Aは増える可能性がある。これまでM&Aができなかった企業でも、できるようになるため面白いことになりそうだ。改正の要件を見てもお金が足りないことが条件になっていたりする。この要件からもキャッシュがなく、M&Aができないような会社でも株式対価でM&Aができるようにする狙いは見てとれる」

-大型案件についてはどうでしょうか。

「武田薬品によるシャイアー買収のような巨額買収の例はそうあるものではないと思うが、大型のM&Aといえば、これからはやはり海外企業の買収になりそうだ。競争力強化法の改正でTOB類似の方法でなくても、外国企業の買収を株式対価でできるようになったのは大きい。大型案件が増える可能性はある」

-今回の改正についてどのような印象をお持ちですか。

「今回の改正は大きな1歩だと思うが、まだドアが半分くらいしか開いていないという感じ。特別事業再編計画が認められないと税制の特例は適用されず、認定の対象となる業態も限られていたりする。恒久的な改正ではなく時限的なものなので、将来は恒久的なものにしていくことが望ましい」

聞き手:M&A Online編集部 松本亮一