学生レポーターの山口萌さんが今回訪問したのは、東証マザーズ上場のベイカレント・コンサルティング(東京都港区)。M&Aの専門チームを率いるマネージングディレクターの田中大貴さんに話を聞きました。過去に自身の勤務先が買収され、苦い思い出を持つそうです。実体験を踏まえ、田中さんが提唱するのが「セカンドPMI」。失敗しないM&Aのために、その思いを熱く語ってくれました。

M&Aを学ぶために入社した会社が買収されるレアな経験

ーM&Aのコンサルタントとしてご活躍されていますが、初めからそういった方面に興味があったのですか。

学生時代にM&Aのことを勉強したわけではないし、最初から興味を持っていたわけでもない。M&Aに着目したのはコンサルタントの道に入り数年してからだった。

ー大学卒業後、外資系の大手コンサルティング会社を振り出しに、キャリアを積んでこられましたが。

マッキンゼーに入社したが、戦略を策定してクライアントに提言するような仕事よりも、クライアントと、もっと汗をかけるような実行寄りの仕事がしたくなり、マネジメントに深く関与する実行支援(ハンズオン)系のコンサルティング会社に転職した。最初の会社で戦略策定、次いで実行支援の仕事に携わる中で、コンサルタントとしてのエッジをどうつけていくかを考えた。エッジとはインダストリーやファンクションといった専門性。その際、自分の経験が生かせるだろうと考えたのがM&Aだった。

M&Aは一般に戦略策定、ディール(取引)、PMI(M&A実行後の統合プロセス)の3つの工程に大別される。そのうち、初めと終わりの工程の経験はあったので、真ん中のディールの経験を積みたいと思い、M&A全般を手がける別の会社に移った。M&Aの全工程を一気通貫でサポートできる人材になれれば、コンサルタントとしての大きな強みになると考えた。

ー移籍先の会社で現在のご自身を決定づけるような経験をされたそうですね。

実は、M&Aコンサルティングについて経験を重ねようと入社した会社が買収された。それまでクライアント(顧客企業)に助言やサポートすることはあったが、自分自身がM&Aに巻き込まれるレア(希少)な体験をした。新体制のもとで振り回されたり、束縛を受けたりして、働きにくくなった。同僚も次々に会社を去っていった。

とはいえ、買収されたという事実は変えようがない。自分がやれることはすべてやったつもりだが、元の会社は消滅した。M&Aを実体験して以来、買った会社と買われた会社で、M&A後にもっとうまくやれるノウハウや考え方があるのではないかと、ずっと考えてきた。同じような悩みを持つクライアントに対峙する…それが今の私の仕事となっている。

ベイカレント・コンサルティングはもともとIT系に強みを持つコンサルティング会社。新たにM&Aサービスを強化しようとする際、そのヘッドとして誘われた。2016年1月のことで、社内に「M&Aストラテジー」というセクションを立ち上げた。