中小企業の事業承継やM&Aを支援する株式会社日本経営承継支援。商工会議所、地方銀行、会計事務所をはじめ、公的機関(各都道府県に設置された事業引継ぎ支援センター)との連携を強みに、全国各地の中小企業のM&A仲介のコンサルティングなどを展開する。代表の笹川敏幸氏は、独立系のM&A仲介会社を経て、起業したM&A仲介・コンサルティングの専門家。「最近、中小企業にとってM&Aが経営の選択肢の一つとして浸透しました」と語る。

働き始めた頃、M&Aの認知度の低さに苦労

―まず、M&A仲介の業務に興味を持たれ、その事業を展開するに至った経緯を教えてください。

私もM&Aというと、新聞紙上を賑わすような大手企業を舞台としたものと思っていましたが、この仕事に就く20年ほど前に「中小企業のM&Aを専門的にやっている会社がある」と聞き、正直驚きました。聞いてみると、社会的な意義も大きく、自分を成長させてくれる面白い仕事だと考え、その会社にお世話になることにしました。

―日本M&Aセンターさんですね。入社されてみて、考えていたこととの違いは。

私は新潟出身で、入社当初、地元に帰ったときに高校時代の友人と話しても、「M&A? 何それ?」です(笑)。余談ですが、父は地元の公務員でしたから、地元の大学を出て、一公務員になることを勧められました。親戚も私の就職先が東京の一般企業、M&Aの会社と聞いて驚いていたくらいです。

その後、仕事でいろいろな会社を訪問しましたが、当時、中小企業の経営者の皆さんも、M&Aは縁遠いものと感じていたようです。どういうビジネスか理解してもらうことが、まずひと苦労でしたね。

―当時、中小企業を回られて、どのような印象を持ちましたか。

ニッチな市場を衝いて、かつキラリと光る事業をされている方が多い。新聞などには載らない企業でも、優れた技術を持って事業をされている方はたくさんいる。でも、そういう方々の多くは跡継ぎ問題に悩んでいる。将来はM&Aにかかわらず自分で事業をやりしたいと思っていたので、そういうキラリと光る事業に関わっていけたらと思いましたね。

―その後、独立されて日本経営承継支援を創業されたということですね。

いえ、退職後に4年ほど、監査法人系のコンサルティング会社に勤めました。M&Aに関わる仕事がメインですが、案件は比較的大きな会社が多かったですね。規模の違いでM&Aでやるべきこともずいぶん変わります。中小企業と大手、別の“レイヤー”の実情を理解するという面でも、とても勉強になりました。

ただ、その監査法人系のコンサルティング会社の仕事からは「新しいビジネスを見つけて独立して事業をやろう」という思いはなかったですね。きっと、会計士の方がやっている仕事とは、少し畑が違うと感じたのだと思います。

―その頃、公的機関の事業引継ぎセンターとの関わりも増えてきたのですか。

事業引継ぎセンターは2011年秋に東京と大阪に設置され、以後、各都道府県に設置された公的な機関です。私は日本M&Aセンターで商工会議所と会計事務所との連携を図る仕事をしていて、商工会議所のM&Aサポートシステムという組織でアドバイザーをやっていました。そのつながりで東京都の事業引継ぎセンターの立ち上げのお手伝いのため、引継ぎ支援センターのサブマネジャーに就任しました。現在、弊社が引継ぎ支援センターとの連携しているのはこういった経緯があるからです。