学生レポーターの山口萌さんが、液体窒素やアルゴンガスなどの産業ガスを中心に医療や食品、ケミカルなど多方面の事業を手がけるエア・ウォーター<4088>の執行役員社長室経営企画部長の北川裕二さんに話を聞きました。エア・ウォーターは2000年に「大同ほくさん」と「共同酸素」が合併して生まれた企業で、新会社になって以来これまでに120件以上のM&Aを実施しており、昨年2017年だけでもその数は11件に上ります。これらM&A案件の調査や交渉などを行う重要な部署を率いる北川さんは「ねずみの集団経営」「掛け算」「M&A の連鎖」などについて、静かながら自信にあふれた口調で語ってくれました。

外部の技術を導入

-今年2018年2月、3月に6件のM&Aを行っています。この時期に集中したのは何か理由があるのですか。

「弊社はM&Aを実施するにあたって金融機関やM&Aブティック(M&Aの仲介を行う企業)からの紹介も受けています。件数は年間100件以上になります。紹介のタイミングは弊社が選べませんので、たまたま2月と3月に集中しただけです。特に理由があったわけではありません」

-相手先企業からは傘下に入れて下さいというような感じで紹介があるのでしょうか。

「金融機関からの案件の場合はこんな企業はどうでしょうかという感じですが、M&Aブティックからの案件では、弊社の経営方針であるねずみの集団経営を理解され、弊社を希望されるオーナーの方もおられます。弊社もM&Aを結構やってきたため、それなりに有名になっており、ずっとM&Aを続けてきた実績が評価されているようです」

「外部の技術を導入するためベンチャー企業への投資を行った」という北川さん

-これまでに印象深かった案件は何でしょうか。

「今年4月に発表したカイロスは弊社としては初めてのベンチャー企業への投資でしたので、印象に残っています。カイロスは8K内視鏡のスタートアップ企業で、しっかりした技術を持っており、製品化もしています。これまでは長年事業をやってきて安定した業績の企業が多かったのですが、初めてこうした成長期の会社に投資をしました」

-M&A の方針が変わったのですか。

「方針が変わったのではありません。これまで弊社は将来の業績が見通しづらい企業については慎重に対応してきました。ですが、最近オープンイノベーションが盛んになっており、外部の技術を取り入れていこうという考えが広がってきています。これまでは自前主義で独自に開発を行ってきましたが、外部の技術を導入しようという判断でこの投資を行いました」