メーカーの協力なくしてサプライヤーの技術力なし

スマートフォンやコンピューター、自動車などの完成品、いわゆるBtoC(企業から一般消費者向け)製品であれば、顧客からの意見や要望を吸い上げることはあるが、技術的な共同開発はない。顧客はただメーカー側が「いかがですか」と提供する商品を、買うか買わないかの選択をするだけである。

一方、素材や部品のようなBtoB(企業間取引)製品となると話は別だ。とりわけ半導体や有機ELのような最先端技術を駆使する分野では、顧客が技術や品質、コストなどで細かい要望を出し、それに素材・部品メーカー(サプライヤー)が質問や提案を繰り返して「対話型」の開発作業を進めていく。いわばメーカーとサプライヤーとの共同開発である。

ここで注目すべきは「サプライヤーの技術レベルは納入するメーカーの調達要求に大きく依存する」ということだ。優秀な顧客と取引をすることで、サプライヤーの技術は磨かれていく。最先端の技術であればあるほど、「サプライヤーが100%開発した」素材や部品は存在しない。納入先のメーカーの方が研究開発力が高く、サプライヤーが「指導」を受けていることも珍しくない。

つまりサプライヤーにとっては業界ナンバーワンの企業と取り引きをすることが、自社の競争力を高めるのに最良の選択なのだ。自動車部品世界2位のデンソー<6902>や同6位のアイシン精機<7259>といった国産サプライヤーが高い国際競争力を持つのも、トヨタ自動車<7203>と大きな取引があるからだ。トヨタとの取引が縮小すれば、両社の製品開発力は大きく低下するだろう。

日本の半導体素材・生産装置メーカーにも同じことが言える。これらの国産サプライヤーは1980年代から90年代にかけての「電子立国」時代には国内の半導体やエレクトロニクスメーカーとの取引で製品開発力を世界最高レベルへ引き上げ、日本企業の没落後はサムスン電子やLG電子、SKハイニックスなどの韓国メーカーと取引することで技術レベルを維持してきた。韓国企業との取引が細れば、国産サプライヤーも世界最高レベルから転落するのは避けられない。

半導体向けの素材や部品はサプライヤーだけで開発できるわけではない。