コトバは世相や時代を映す鏡といわれる。コトバにも流行りすたりがある。挙句、死語になる場合も少なくない。昨今、新型コロナウイルスの感染拡大が世界的ニュースとなっているが、実はその昔、ウイルスと言わず、ビールスと表記されていた。かつて「ナウい」とされたコトバのその後の運命は?

「グンバツ」って?

まず紹介したいのが「グンバツ」。「グンバツの出来だね」などと使われる。抜群を意味し、文字の前後を入れ替えたコトバ。テレビなどの業界用語とされている。今では絶命種に近いが、それでも50代以降の世代はたまに使ったりする。

ナウい」はNOWに由来し、今風の、流行のといった意味。昭和に忘れてきたコトバの一つといえるが、反対語の「ダサい」はまだ健在。最近は「ビミョー」という否定語も大流行中だ。そういえば、「ハンサム」もあまり使われなくなり、代わって「イケメン」が台頭して久しい。

年輩にとって2人連れといえば、「アベック」。ところが若者には通用しない。平成以降は「カップル」、「ツーショット」が定番だ。もっとも、野球で2者連続本塁打が出たときは、今もアベックホーマーと表現される。

VIRUS→「ウイルス」

さて、感染症の病原体を指すウイルスがなぜ、以前「ビールス」(ヴィ―ルスとも)と呼ばれているのか? 英語でVIRUSと表記するが、ドイツ語で発音するとビールス、ラテン語だとウイルス。英語ではバイラスの読み。

日本の医学界は明治以来、ドイツの影響が強く受けていたこともあり、ビールスが主流だったが、戦後10年ほどした昭和30年代以降、学界の流れとしてウイルスの表記が一般的となった経緯がある。IT分野では、コンピューターウイルスというコトバが定着している。

和製英語ながら、CAと略することが多いキャビンアテンダント(客室乗務員)。性差を問わない呼び方として、スチュワーデスから置き換わった。例えば、看護婦→看護師、保母→保育士、父兄→保護者。こうした変化も同様の理由からだ。堀ちえみ主演のテレビドラマ「スチュワーデス物語」は昭和の終盤に大ヒットした。

ホットケーキも最近は、パンケーキとして呼ばれることが多い。その主な材料は小麦粉だが、「メリケン粉」というコトバは今や死語同然。米国から輸入された小麦粉(アメリカン粉)のことで、英語風発音からメリケン粉と名づけられた。ちなみに、神戸港のメリケン波止場は近くに米領事館があったのが名前の由来。

トランジスタグラマーは褒めコトバ

少々お色気系では「ボイン」。女性の豊かなバストをさすテレビの深夜番組発の俗語で、昭和世代にはなつかしい。

こちらも絶滅したが、もう一つは「トランジスタグラマー」。小柄でグラマーなスタイルの女性を表現する褒めコトバとして流行した。その数年前の1955年、ソニー(当時、東京通信工業)に日本初の小型・高性能のトランジスタラジオを商品化したのにちなんでネーミングされた。

歴史に埋もれるかつての流行コトバだが、若い世代には思いがけず耳新しく、再びもてはやされる日が来るかもしれない。

文:M&A Online編集部