「公認会計士」制度がこの7月、誕生70年を迎えた。弁護士と並んで最難関・最強の国家資格とされる公認会計士。その数は全国で3万人余り。監査や会計のプロフェッショナルとして社会的に認知されている。近年活発化するM&A(企業の合併・買収)時の財務デューデリジェンスでは企業会計に関する専門的な知識が不可欠で、出番はますます増えている。公認会計士の成り立ちや変遷をたどってみると。

「計理士」から「公認会計士」へ

公認会計士制度は戦後、財閥解体に象徴される経済の民主化政策の一環として1948年に創設された。この年、証券取引法(金融商品取引法の前身)が導入されると、計理士法が廃止され、新しく公認会計士法が制定された。もともと、日本での職業会計人制度は1927年の計理士法に基づく計理士に始まるが、ここに再出発を果たした。

公認会計士が行うのは企業の貸借対照表や損益計算書など財務諸表の監査業務。守備範囲は会計業務や税務業務、コンサルティング業務まで広がっているが、公認会計士だけに認められている独占業務が企業の作成した財務諸表が適正であるかどうかを第三者の立場で評価する監査業務だ。公正な企業活動の確保や投資家保護などを通じて、国民経済の健全な発展に寄与することを使命としている。

そして1967年に日本最初の監査法人として「監査法人太田哲三事務所」(現EY新日本有限責任監査法人)がスタートした。1965年、山陽特殊製鋼が当時戦後最大の負債500億円を抱えて倒産したが、この時、経営陣による粉飾決算が社会問題となった。これを引き金に組織的監査を求める声が高まり、監査法人が生まれたのだ。

2015年に上場企業の行動規範の指針を定めたコーポレート・ガバナンス・コードの策定を受けて、公認会計士を社外役員に選任する上場企業が増加。また、2017年には一定規模以上の社会福祉法人に対する会計監査が導入され、医療、介護といった公的領域にも活動が広がっている。

会計士は全国に3万人余り、慶大がトップの合格者を輩出

公認会計士の総本山というべき存在が「日本公認会計士協会」(東京・九段南)。公認会計士と監査法人はすべて協会の会員となることが義務づけられている。

現在、公認会計士の数は全国3万316人(2017年末)で、このうち女性は4220人(女性割合14%)。全体の半数以上の1万7837人が東京都に集中する。弁護士の世界はどうかというと、総数3万8980人(2017年3月末)で、女性は7179人(同18%)。女性の進出という点では弁護士に軍配が上がるが、国際的にはまだ途上のようだ。

2017年の公認会計士試験には1231人が合格し、合格率は11.2%という狭き門。同年の合格者を出身大学別にみると、慶応大157人、早稲田大111人、明治大84人、中央大77人、東京大50人などの順となっている(公認会計士稲門会調べ)。慶応は40年以上も合格者トップをキープしている。陸の王者ならぬ、まさに「会計の王者」でもあるのだ。

〇大学別の公認会計士試験合格者(公認会計士稲門会調べ)

順位2017年2016年
1位慶応 157人慶応 139人
2位早稲田111人早稲田 96人
3位明治 84人中央 96人
4位中央 77人明治 72人
5位東京 50人東京 36人
6位京都 48人同志社33人
7位一橋 36人立命館29人
8位立命館31人関西学院27人
神戸 29人法政 27人
専修 29人神戸 26人