【ヤフー】M&Aで広げるネット経済圏 広告、通販、金融を柱にさらなる成長へ 

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt
ヤフーはパソコンからのネット利用者数で国内トップ(画像はイメージです)

【財務分析】膨らむのれん、シナジーの実現課題に

 ヤフーは、前述の通り19期連続で増収増益を実現している優良企業である(図1参照)。

図1

 ヤフーの親会社であるソフトバンクは、売上拡大をM&Aにより実現しているといっても過言ではないが、ヤフーに関しては、傾向が異なる。M&Aを行ってきた企業のM&A時の売上高は、ヤフーに大きな影響を与えていないようだ。

 なお、売上高の増加率は、年々減少傾向にあり、近年は特に低調である(図2参照)。2016年3月期の増加率が改善したのは、この期に売上高2767億円(2015年5月期)のアスクルが、連結子会社化されたからである。今後、ヤフーが更なる発展を実現するためには、アスクルの買収のような事例が他にも必要になるかもしれない。

図2

 また、2016年3月期は、アスクルと一休の連結子会社化により、のれんと無形資産も大幅に増加している(図3参照)。2015年3月期まではのれんと無形資産合計で600億円程度であったが、2016年3月期には2850億円に増加、総資産に占める比率は21%に上昇した。うちのれんは1563億円であるが、ヤフーは国際会計基準を適用しているため、のれんが償却されない。特に一休は、売上高66億円、純利益が14億円、純資産が65億の会社である。買収価額1000億円を回収するためには、相当のシナジー効果を実現して成長させなければならない。

図3

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

ベライゾン、ヤフー買収見直しか?

ベライゾン、ヤフー買収見直しか?

2016-11-26

​ベライゾンが米ヤフー買収にあたって買収見直しを検討している模様です。買収後に発覚した個人情報流出の件が原因のようです。

関連のM&A速報