日本政府が、海外での承認を条件に国内の審査を迅速化できる特例承認の制度を用いて、新型コロナウイルス感染症治療薬として期待を集めているレムデシビルの早期承認の方針を打ち出した。

新型コロナウイルス感染症治療薬といえば日本企業が開発したアビガンがある。現在、臨床試験中のため、使える人はまだ限定的だがアビガンを使用した芸能人らがその効果に言及するなど注目度は高い。

アビガンは海外での承認事例がないため特例承認は使えず、早期承認はできないという。このため国内第1号の新型コロナウイルス感染症治療薬はレムデシビルということになりそうだ。レムデシビルとはどのような薬なのか。またどのような企業が開発したのか。

中等度・重度の患者が対象

レムデシビルはウイルスが増殖する際に必要な酵素の働きを抑制することでウイルスの増殖を抑えるもので、10年以上前に開発され抗ウイルス活性について研究が続いていた。 

中東地域で広く発生している中東呼吸器症候群(MERS)ウイルスや、中国広東省を起源とする重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスなどでは、試験管内と動物モデルを用いた試験の両方で抗ウイルス活性が認められているほか、エボラ出血熱患者の緊急治療では少数ながら治療効果が確認されているという。 

MERSやSARSの原因となるウイルスはコロナウイルスの一種であり、新型コロナウイルスと構造が似ている。レムデシビルが新型コロナウイルス感染症治療薬として効果が期待される理由はここにある。 

すでに中国や欧米で臨床試験が進んでおり、近く米国やドイツがレムデシビルを新型コロナウイルス感染症治療薬として承認すると伝えられている。 

日本でも2020年4月14日から中等度・重度の患者を対象とする安全性と有効性を評価する試験が始まっており、この試験によってレムデシビルの安全性と有効性に関する重要なデータが、数週間のうちに得られる見込みという。 

こうした状況を踏まえ、日本政府は特例承認の制度を用いてレムデシビルの早期承認に踏み切るわけだ。