熊本パルコは1986年、長崎屋の跡地に開業しました。鶴屋百貨店本店などが並ぶ繁華街の一角にあり、街の顔として機能していました。
同店の2005年2月期のテナント収益は67億9300万円。2017年度は49億8900万円でした。今回の閉店により、10億円の損失を計上する予定です。
建物が古くなり、契約更新時期を迎えて撤退を決めたパルコ。しかし、最も大きな要因は、桜町再開発プロジェクトの大型施設がオープンするためと考えられます。
2019年秋に開業する施設は、延べ床面積が16万平方メートルにも及ぶ巨大なもの。九州産交HDと九州産交ランドマークなどが755億円もの投資をし、地方都市では異例ともいえる大型事業を立ち上げました。
店舗数は150。シネコン、ホテル、劇場、バスターミナルなどを抱える施設です。この巨艦を前にして、パルコの経営判断は「撤退」でした。
かつて、パルコは西武百貨店を中核としたセゾングループの一つでした。元会長の増田通二氏はパルコを独自路線に育て上げ、セゾングループに埋もれない唯一無二のブランドを確立しました。劇場や出版社を立ち上げ、若者を刺激する仕掛けを作りました。その”尖った”スタイルが、多くの若者を惹きつけました。
とうとうそのブランド力も薄れてきているようです。
同社は新たに「ゼロゲート」という、都市部の小型店舗を開発。渋谷、原宿などに投入しています。多額な費用をかけてブランド力を磨くよりも、エリアを見極めて細かく出店する戦略へと舵を切りました。
麦とホップ@ビールを飲む理由