新型コロナ禍で「自転車見直し」の動き

だが、今年は新型コロナウイルス感染症の拡大という「異常事態」が起こった。国産自転車メーカーの多くは自転車用フレームを中国から輸入しており、一足先に感染が拡大した現地部品メーカーからの供給が滞り、生産台数が激減したのだ。品薄を受けて消費者が自転車を買い急いだため、販売単価も上昇した。

1月7日を100とする株価比較だと、あさひは3月6日には77まで落ち込んだが強気の決算予想を受けて4月7日には90まで回復。同日の日経平均株価が80に留まっていることからも、株価の回復が早いことが分かる。その他の自転車関連銘柄でも、シマノ<7309>が86、ブリヂストンサイクルの親会社であるブリヂストン<5108>が81と、それぞれ日経平均を上回る株価の回復を見せた。

1月7日を100とした時の株価推移
  1月7日 2月7日 3月6日 4月7日
あさひ 100 98 77 90
シマノ 100 100 83 86
ブリヂストン 100 99 85 81
日経平均株価 100 101 88 80

今後は中国からの部品供給の回復を受けて、バックオーダー(受注残)処理に伴う販売増が見込まれる。さらには2020年4月8日の緊急事態宣言でスポーツクラブが全面営業自粛となる大都市圏で代替の運動手段として自転車が注目されていることや、感染を心配して電車やバスなどの密閉された交通機関での移動を嫌う人たちが自転車による移動に切り替えるなどの「コロナ特需」もありそうだ。

新型コロナウイルス感染症の拡大で厳しい外出制限を課している米ニューヨークでも、ビル・デブラシオ市長が感染拡大を防ぐための市民向けガイドラインで「自分と他者を守るため、ラッシュアワーの時間帯に地下鉄を利用しないようにして、自転車などの代替手段で通勤しよう」と呼びかけたのを受けて、利用者が急増している。

二ューヨークのレンタル自転車サービス会社Citi Bikeは同3月12日、利用率が前年比で最大67%増加したと発表。ニューヨーク市運輸局も同日、気温の上昇と同ガイドラインの発表により、イースト川にかかる橋での自転車通行量が前年比で50%も増加したと公表した。新型コロナウイルスの感染拡大は、計らずも自転車の「追い風」になりそうだ。

文:M&A Online編集部