中堅印刷会社の廣済堂<7868>は25日、米投資ファンドのベインキャピタルが廣済堂に対して実施中のTOB株式公開買い付け)について、同日までだった買付期間を4月8日に延長すると発表した。買付期間の延長はこれで3度目。廣済堂株価は買付価格を上回る高値で推移し、不成立が避けられない情勢だったが、ひとまず時間を稼いだ格好だ。

55営業日と異例の長さに

買付期間は10日延長して55営業日と異例の長さとなるが、旧村上ファンドの関係企業から対抗TOBを仕掛けられていることから、買付価格の引き上げによる反転攻勢のタイミングを計ることになりそうだ。

廣済堂は1月18日に、ベインキャピタルの支援を得てMBO(経営陣が参加する買収)の一環としてのTOBを開始した。廣済堂株の買付価格は当初610円。TOB開始時400円台だった廣済堂株価は3月25日の終値で821円(前日比38円安)とほぼ倍の高値水準にある。

3月8日に買付価格を610円から700円に引き上げる一方、買付予定数の下限を保有割合で当初の66.67%から50%に引き下げ、TOB成立のためのハードルを低くした。しかし、市場価格は買付価格を大きく上回ったまま、2度の延長の末に25日までとしていた買付期間を迎えた。

TOBに望みをつなぐためにも買付期間の延長は当然視されていたが、今回、買付価格の引き上げについては見送った。市場価格の動きをまずは見極めるのが先決との判断が働いたものとみられる。成り行き次第ではさらに5営業日延長し、最大60営業日となっている買付期間を目いっぱい活用することが考えられる。

というのも、旧村上ファンドの関係企業であるレノ(東京都渋谷区)と南青山不動産(同)が廣済堂をめぐるTOBに参戦を決め、廣済堂株価の上昇に弾みがついているからだ。

「権利落ち」以降の株価の方向感は

廣済堂株式の13.47%を保有するレノグループは20日に1株750円で対抗TOBを実施すると発表(買付期間は4月18日まで)。祝日明けの22日、対抗TOB初日の廣済堂株の終値は122円(16.55%)高の859円と、東証1部の値上がり率トップとなった。日経平均が650円以上下落し、全面安の展開となった25日も821円で踏みとどまった。

26日は3月期決算会社の配当や株主優待などの権利が得られる権利付き最終日。そして27日の「権利落ち」以降の株価の方向感はどうなるのか。廣済堂側としては、そのあたりを見極めが必要になってこよう。

◎廣済堂TOBMBO)をめぐる動き

1/17廣済堂、米ベインキャピタルと組んでTOBによるMBOを発表
1/18TOB開始(買付価格610円)
2/4レノの大量保有(5.83%)が判明
2/18創業家大株主、監査役の一人がTOBに反対表明
2/263月1日までとしていたTOB期間を3月12日に延長すると発表
3/8TOB期間を再延長(3月25日まで)、買付価格引き上げ(700円に)など条件変更を発表
3/20南青山不動産が対抗TOB(買付価格750円)を22日から実施すると発表
3/25TOB期間の3度目の延長を発表(4月8日まで)
4/18南青山不動産による対抗TOB終了

文:M&A Online編集部