米アップルの主力商品であるiPhoneに「2020年問題」が立ちふさがっている。現行の通信規格4G(第4世代)LTEの20倍もの高速大容量データ通信を実現する5G(第5世代)サービスが2020年に本格稼働するが、これに同年発売の次々世代iPhoneが対応できない可能性が高まっているのだ。

5G通信用モデムチップで頭を痛めるアップル

なぜ「天下のアップル」が、そんな事態に追い込まれたのか?実はアップルはiPhoneの頭脳となるCPUやGPUなどを実装するSoC(System-on-a-chip)を独自開発しているが、移動体通信用のモデムチップは他社から供給を受けている。

アップルは「iPhone6S」までは、米クアルコムだけからモデムチップの供給を受けていた。アップルはクアルコムから通常の5倍もの高額なライセンス料を求められていたこともあり、2016年9月に発売された「iPhone7」以降は米インテルからもモデムチップの供給を受け2社からの調達となった。

2017年1月、アップルはクアルコムに対して約10億ドル(約1200億円=当時)の未払い金の支払いを求めて提訴する。これはアップルがクアルコムのモデムチップだけを採用することで報奨金を支払うという契約に基づくもので、2011年分から2016年分までは支払われていた。

しかし、韓国でのクアルコムに対する独占禁止法の違反調査にアップルが協力したことへの報復措置として、2017年分の支払いが停止されたという。クアルコムはアップルの訴えに根拠がないと反論。以来、両社は泥沼の法廷闘争を繰り広げている。こうした事態を受けて、2018年9月に発売した「iPhoneXS」以降はインテルが単独でモデムチップを供給している。

ならば2020年モデル以降もインテル製のモデムチップを使えばよさそうなものだが、そう簡単な話ではない。実はクアルコムとインテルのモデムチップには明確な性能差があったのだ。

iPhoneXS、XRではインテルのモデムチップを採用しているが…(インテルホームページより)