2月25日付の官報でドワンゴが資本金を105億円減少させ、1億円とすることが明らかとなった。ドワンゴは2014年10月にKADOWAKAと共同株式移転を経て設立されたカドカワ<9468>の100%子会社であり、ニコニコ動画やゲームアプリ、VR(仮想現実)関連のサービスなどを提供する会社だ。

そんなドワンゴが今般105億円もの減資に踏み切ることになった。なぜ大規模な減資を行うことになったのか。 

2017年3月期から営業赤字が続く

まず、ドワンゴの直近の財務状況を見てみる。2月13日付で公表されている「特別損失の計上及び通期業績予想の修正、グループ経営体制刷新に伴う会社分割の実施、孫会社の異動、並びに代表取締役及び取締役の異動に関するお知らせ」から確認ができる。下表に当該お知らせから抜粋したドワンゴの業績推移を示す。

2017年3月期以降、ドワンゴは営業赤字に陥り、18年3月期の赤字幅は約30億円近くとなっている。また、当該お知らせにおいては、同時に19年3月期にドワンゴに関連する固定資産について約38億円の減損損失を計上することも公表されている。この状況を見る限り、ドワンゴの業績がここ数年でかなり悪化している状態にあることがわかる。

繰越欠損金の100%活用

法人税法および地方税法上、欠損が生じた場合には、当該欠損金を10年間繰り越して利用することができる。しかし、法人税法上の中小法人以外の法人については、毎年の所得金額の50%までしか繰越欠損金を利用できないという制限が存在する。つまり、100億円の欠損が発生した翌年に100億円の所得が発生したとしても、50億円しか欠損金を利用することができず、50億円に対して課税されることとなるのだ。

上述の通り、ドワンゴにおいてはここ数年の業績悪化から繰越欠損金が相当程度たまっているものと予測される。となると、ドワンゴの今回の減資は、資本金を1億円とすることで法人税法上の中小法人とし、繰越欠損金の使用制限を撤廃することでドワンゴの欠損金を100%活用することが目的ではないかとも考えられる。

しかし、ドワンゴの場合、単純に資本金を1億円とするだけで中小法人になれるわけではない。以下は中小法人の定義である。

(税務研究会「https://www.zeiken.co.jp/news/091955.php」より抜粋)

ここでいう大法人とは、資本金が5億円以上の法人等を指す。ドワンゴの場合、完全親法人であるカドカワ(なお、ドワンゴは、2019年4月1日に会社分割によりKADOKAWAの子会社となる予定)の2018年3月末時点の資本金が206億円であることから、カドカワは大法人となり、カドカワとの間に完全支配関係があるドワンゴは中小法人とはならないのだ(KADOKAWAの資本金は292億円であることから、KADOKAWAが完全親法人となった場合であっても同様)。

したがって、ドワンゴが中小法人となるには、第三者がドワンゴに出資を行う等により、カドカワとの間に存在する完全支配関係を解消する必要がある。仮にドワンゴの減資の目的が繰越欠損金を最大限活用することであれば、この完全支配関係を解消する動きに出ることが考えられる。

ただし、カドカワグループは連結納税を適用しており、ドワンゴも当該連結納税に加入しているものと思われるが、仮に完全支配関係を解消した場合、ドワンゴはカドカワグループの連結納税から離脱することとなる。この場合、ドワンゴから生じる欠損金をKADOKAWA等他のグループ会社から生じる所得と相殺できず、ドワンゴ自身で生じる所得としか相殺できなくなる。