カドカワ<9468>が、川上量生氏の代表取締役社長の退任を発表しました。カドカワの取締役にとどまるものの、創業したドワンゴの取締役からは外れることとなります。カドカワは、2014年2月にドワンゴと経営統合。ドワンゴから、カドカワのトップに就任していた川上氏は、取締役の一人として経営参画することとなります。原因は、ドワンゴの主力事業「ニコニコ動画」が奮わず、新開発したゲーム「テクテクテクテク」も期待外れに終わったこと。

カドカワは、2019年3月期第3四半期に38億円の減損損失を計上。これは、ドワンゴの固定資産を減損したものです。あわせて、同社の株式評価損149億円を、特別損失として計上しました。これにより、2019年3月期の業績予想を修正。売上高は10.4%減の2070億円、経常利益は68.1%減の29億円、純利益は54億円から、43億円の赤字へと転落しました。

見かねたカドカワは、組織再編を進めると発表しています。カドカワの直轄子会社だった、ドワンゴ、Gzブレイン、大百科ニュースを、メディア事業のKADOKAWAの子会社へと異動。ドワンゴは、カドカワの実質的な孫会社となりました。

肝入りのゲームは売上高50億円の予想が900万円!

テクテクテクテク
「テクテクテクテク」公式ページより

カドカワが今期、最も期待をかけていたのがドワンゴのゲーム「テクテクテクテク」でした。2018年11月にリリースされたスマートフォン用アプリで、実際に歩いて陣地を広げるというもの。「位置ゲー」と呼ばれるジャンルで、「Ingress」などの先行ヒットタイトルがあります。

「テクテクテクテク」は、配信初日から「シン・ゴジラ」や「エヴァンゲリオン」とコラボレートし、スマートフォンを通して実際の風景に、キャラクターを登場させる仕掛けを作りました。歌手の小林幸子さんや、高須クリニックの高須院長などともコラボ。話題作りに奔走しました。

2019年3月期で50億円の売上予想をしていましたが、第3四半期の段階で売上は900万円。開発費として投じていた資金8億円を、今回一括償却してリセット状態に戻しました。

このゲームが収益に結びつかなかったのは、課金要素が少なかったため。スマートフォンゲームの課金で主流なのは、「ガチャ」と呼ばれるものです。欲しいアイテムやキャラクターを得るため、課金をしてクジを引きます。出現する確率が数%と低く、数十万円課金するユーザーも少なくありません。

テクテクテクテクは、基本的にマップ上でアイテムを集めることができます。あえて課金をする強いインセンティブが働きません。

ニコニコ動画のプレミアム会員数減少が止まらず

ドワンゴの主力事業「ニコニコ動画」も鳴かず飛ばずの状態。このサービスは、プレミアム会員と呼ばれる月額540円の定額サービスに支えられています。その会員数の減少が止まりません。2016年の256万人で頭打ちとなり、急速に数を減らしました。今期は下のグラフのように、200万人へと増加させるつもりでいました。しかし、2018年12月末の段階で会員数は188万人。減少は止まりません。

カドカワ決算説明資料
決算説明資料より