スポーツ用品大手のデサント<8114>、印刷中堅の廣済堂<7868>を舞台に、成立か不成立かをめぐって攻防戦が続く注目のTOB株式公開買い付け)が来週、いよいよ期限を迎える。

前者のケースは筆頭株主の伊藤忠商事による敵対的TOBに発展し、デサント側は断固反対の姿勢。一方、後者はMBO(経営陣による買収)を通じた株式の非公開化を目的とするが、旧村上ファンド系企業の株買い占めによって廣済堂株価がTOB価格を上回る高値で推移しているのを受け、TOB期間を1週間(7営業日)延長した経緯がある。

デサントへの敵対的TOB、順当なら成立へ

伊藤忠は1月31日に経営方針をめぐって対立するデサントへのTOBを発表し、同日から買い付けを開始した。デサントは2月7日にTOBに反対を表明した。この意見表明によって敵対的TOBとなることが確定した。TOBが終了するのは3月14日。

両社は2月中旬に4度、話し合いのテーブルについたものの、双方の主張は平行線のままだったとみられる。伊藤忠は2月28日に話し合いを打ち切り、TOB終了後に協議を再開する方針を明らかにした。その際、デサント側が譲歩しない限り、臨時株主総会の開催を提案する可能性にも言及した。

デサントに対する伊藤忠のTOBは現在約30%の持ち株比率を40%に引き上げるのが目的で、取締役構成など経営体制の見直しを求めていた。“脱伊藤忠”を目指し、独自経営路線を推し進めてきたデサントにとっては受け入れ難い内容だった。伊藤忠は議決権の3分の1以上を握ることで、株主総会で重要事項への拒否権を発動できる。

デサント株のTOB価格は2800円。TOB公表前日の終値1871円に約50%のプレミアムを加えた。株価は一時TOB価格に接近したが、その後は2500円前後で推移しており、TOB成立が順当といえる。

TOB成立の阻止に向けた対抗措置として、デサントに友好的な第三者(ホワイトナイト)が現れるケースが想定されたが、目下のところ音なし。もちろん、デサントの巻き返しの可能性は捨てきれない。

◎伊藤忠によるデサントTOBをめぐる動き

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伊藤忠がデサントへのTOB開始を発表
2/7デサント取締役会がTOBに「反対」の意見表明
2/8デサント労組がTOBに反対表明
2/11両社が協議へ。その後、13日、15日、20日に継続協議
2/28伊藤忠が協議の打ち切りを発表
3/14TOBが終了