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「賛否両論ある親子上場の最新トレンド」しっかり学ぶM&A基礎講座(16)

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親子上場の弊害とは?

親子上場において一番の弊害といわれるのは、親会社と少数株主の利益相反が生じることです。つまり、子会社は親会社の言いなりになるため、親会社以外の株主である少数株主の利益を無視して、親会社に有利な取引や活動をする可能性があるということです。

東京証券取引所が2007 年6 月に公表した「親会社を有する会社の上場に対する当取引所の考え方について」では、子会社上場は禁止しないものの、望ましい資本政策とはいえないという考え方が示されました。また、同時に、株主の権利などへの配慮や積極的なアカウンタビリティの遂行が望まれるとの見解も掲載されています。

親子上場の良い面は?

もちろん、親子上場にも良い面があります。グループ全体の資金調達力が強化されるほか、資金調達の多様性という点でも経営の安定に寄与します。また、親会社が少数株主の利益を犠牲にした取引を行うという状況は現実的に生じていないとする見解もあります。

冒頭のソフトバンクの上場ではソフトバンクグループが保有するソフトバンク株の3割程度を売り出し、約2兆円を調達できるという試算があります。ソフトバンクグループの孫正義社長は2月の会見において、1年以内に上場したいという目標時期に触れたのとともに、審査の状況などによっては上場を見送る可能性があることも示唆しました。

親子上場のメリットを享受するためには説明責任も同時に果たしていく必要がありますが、孫社長は調達した資金の使途として財務バランスの強化とグループのさらなる成長を掲げています。今後も同社の上場準備の行方には注目が集まることでしょう。

親子上場は減少傾向?

かつて、旧民主党政権下では親子上場を原則禁止とする「公開会社法(仮)」なる法律の制定が俎上に載ったこともあります。10年ほど前からは親子上場を解消する動きがあり、親子上場の数は減少傾向にあると言われてきました。

しかし、上述した日本郵政グループの上場やソフトバンクグループの動向を見ていると、少し風向きが変わってきたようにも感じます。親子上場というものをどのように評価すべきなのか、まだ当分は議論が続きそうです。

文:北川ワタル(公認会計士・税理士)

北川 ワタル

経歴:2001年、公認会計士2次試験合格後、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。マネージャー及び主査として各フィールドワークを指揮するとともに、顧客セミナー、内部研修等の講師 、ニュースレター、書籍等の執筆にも従事した。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップの支援からグループ会社の連結納税、国際税務アドバイザリーまで財務会計・税務を中心とした幅広いサービスを提供。

学歴:武蔵野美術大学造形学部通信教育課程中退、同志社大学法学部政治学科中退、大阪府立天王寺高等学校卒業(高44期)

出版物:『重要項目ピックアップ 固定資産の会計・税務完全ガイド』税務経理協会(分担執筆)、『図解 最新 税金のしくみと手続きがわかる事典』三修社(監修)、『最新 アパート・マンション・民泊 経営をめぐる法律と税務』三修社(監修)など

北川ワタル事務所・株式会社ダーチャコンセプトのウェブサイトはこちら


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