AI(人工知能)技術の主要プレーヤーとなっている米NVIDIAコーポレーション。大手自動車メーカーや米グーグルなどが競っている自動運転車では、NVIDIAの技術をベースに開発に取り組む企業や組織が370を超えているという。しかし、NVIDIAといえばコンピューターのグラフィックス処理を補うGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を開発・販売する部品メーカーの1社にすぎなかった。なぜ、NVIDIAが自動運転をはじめとするAI技術で頭角を現したのか?

「速度競争」を制したNVIDIA

もともとGPUはコンピューターのCPU(中央処理装置)に負担がかかる直線・円弧・四角塗りつぶしといった図形描画機能を担うためのプロセッサー(処理装置)だった。1970~80年代のパーソナルコンピューター(PC)黎明期に、「グラフィックコントローラー」として登場する。その後、図形の解像度向上や多色化、ビデオゲーム需要の増大に伴う2次元アニメーション、3次元グラフィック・アニメーション、画像・動画解析といったニーズの高度化・多様化に伴い、進化を続けている。

GPU誕生の背景にCPUの負担軽減があったことからも分かるように、画像処理はコンピューターにとって負荷がかかる「重い」作業。処理しなければならない演算量が、けた違いに多いことを意味する。画像や動画をスムーズに表示したり編集したりするためには、処理スピードが速くなくてはいけない。スピードアップを求められるのはCPUでも同じなのだが、グラフィック処理専用のGPUはさらに厳しい要求を突き付けられた。

NVIDIAは1999年に、PC用の低価格GPUとしては世界で初めてジオメトリエンジン(3次元コンピューターグラフィックスの座標変換専用ソフト・ハード)を搭載した「GeForce 256」を発売。GPUの低価格・高機能化が一気に進み、競合会社のほとんどが合併や事業の縮小・撤退などで淘汰された。こうしてNVIDIAはGPUでデファクトスタンダード(事実上の世界標準)となったのである。

3D
GPUの進化で3D (立体)やアニメーションなどの複雑な画像処理が可能になった