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【アース製薬株式会社】「地球を、キモチいい家に。」 は 実現できるか

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【財務内容】財務内容が悪化するも、10年で売上を倍増に

 アース製薬の過去の業績推移を見ると、2005年から2016年にかけて売上は倍増している。それに対し、利益はほぼ横ばいと低迷している。この要因として考えられるのが、M&Aに伴うのれん償却費の増加である。

のれん償却費が利益を圧迫

 アース製薬はこれまで数々の国内外企業の買収を行ってきた。それに伴うのれん償却費は大きく、税引き前利益に、特別損益、支払利息、減価償却費及びのれんの償却費を加算したEBITDAの推移で見ると、明らかに減価償却費やのれん償却費が増加している(下図)。

図表3:アース製薬の利益推移

 しかしながら、のれん償却費の増加を考慮してもアース製薬の利益率(下図)は非常に低い。同業他社の2016年度決算の売上高当期利益率と比較すると、例えば花王8.7%、資生堂3.8%、エステー4.0%、フマキラー3.3%なのに対し、同社はわずか2.0%である。こういった利益率の低さには同社が従来から抱える様々な課題があり、例えば主力である殺虫剤の返品率が高いことや、日用品業界の競争激化に伴うコストの増加、シェア拡大のために販売促進費を増加させてきたこと等である。

図表4:アース製薬の売上と利益率の推移

有利子負債が大幅に増加

 財務の健全性では、長らく株主資本比率が50%を超えていたものの、近年では30%台を伺う状況となっている(下図)。

図表5:アース製薬の株主資本、ROE、ROAの推移

 また、企業買収や設備投資を繰り返してきたことにより、有利子負債がここ5年間で大幅に増加している。直近2期の業績では現預金を有利子負債が上回る状況となっており、有利子負債の削減も今後の課題といえる(下図)。

図表6:ネットデットの推移

 一方で、2016年12月期決算での売上は過去最高となっており、国内殺虫剤市場の平均成長率が1.3%ということを考慮すると同社の売上の成長スピードは驚異的である。同社では、さらなる事業の拡大には安定した持続的利益成長が不可欠と考え、殺虫剤に次ぐ第2の柱として日用品を育成してきた。日用品部門では、M&Aを通じて、これまでバスクリンと白元を連結子会社化している。

 アース製薬は総合環境衛生事業も行っており、総合環境衛生事業では、食品工場などに対して異物混入や汚染防止などのコンサルティングサービスを提供し、長期契約を積み上げる安定収益事業となっている。同社は将来の収益源となる事業に対しては積極的な経営方針を執っている。

M&A Online編集部

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入浴剤で有名なバスクリン。2012年にアース製薬がツムラからバスクリンを買収。当時、老舗企業による老舗企業のM&Aと注目を集めた。

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