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【アース製薬株式会社】「地球を、キモチいい家に。」 は 実現できるか

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ときには敵対的買収を仕掛けるM&A巧者

 日用品業界の再編の先駆けになるのではと注目されたのが、ライバル会社であるフマキラーの買収に乗り出した事案である。フマキラーはいち早く海外展開を図ってきたことから、海外展開に後れを取ったアース製薬は、フマキラーとの経営統合を目論んでいた。しかし、フマキラー側はこれを拒否し、創業家が株を買い増すなどの買収防衛策を講じた。

 その後、両社は泥沼の戦いとなる。2009年には両社が製品の類似性を理由に販売停止を求める訴訟を起こし、結局、両社は和解したものの、2011年にフマキラーは第3位の株主であるエステーと業務資本提携に踏み切った。それに伴い、2008年にアース製薬が取得していたフマキラーの株式約10%をエステーに譲渡することとなった。

 2012年には、入浴剤業界2位のバスクリンを買収した。バスクリンは、『バスクリン』や『日本の名湯』などのブランドを持つ長い歴史を誇る会社である。2006年にツムラから「ツムラライフサイエンス」として分社化。その後2008年にワイズパートナーズの支援の下でMBOによってツムラグループから独立し、2010年にツムラライフサイエンスからバスクリンに社名を変更している。そのバスクリン株の8割強を保有するワイズパートナーズから、アース製薬が約150億円で取得し、子会社化した。これによって約15%を占めていたアース製薬の入浴剤シェアは約40%となり、これまで約30%のシェアで首位だった花王を上回り話題となった。

 更に2014年には、バスクリンと同様に非上場会社としては非常に知名度が高かった白元を買収した。白元は衣料用防虫剤『パラゾール』をはじめ冷蔵庫用脱臭剤『ノンスメル』、使い捨てカイロ『ホッカイロ』、衣料用防虫剤『ミセスロイド』、保冷枕『アイスノン』など息の長いヒット商品を次々と生み出した会社である。その白元が経営難により民事再生法適用を受け、再生を支援するスポンサーを募っていた。その際、アース製薬とともに買収に名乗りを上げたのがエステーだった。エステーは、アース製薬がフマキラーの買収に乗り出した際に、フマキラーのホワイトナイトとなったある意味因縁の相手である。

 白元の買収は両社の争奪戦になるかに思われたが、エステーは最終入札への参加を見送った。その背景として、白元の労働組合をはじめ従業員の3分の2がエステーとは販売店が重複するため、人員整理につながる可能性があると署名を集め白元の管財人に提出していたことが影響したとみられている。こうした理由から、エステーは最終入札から降り、アース製薬が買収に至った。

課題は海外展開か

 そして近年、アース製薬は国内企業から海外企業への買収へとシフトしている。2017年には、同社はベトナムのAMGを子会社化した。AMGは2003年の創業以来、ベトナムにおいて住居用洗剤を中心に殺虫剤などの家庭用品の製造・販売を行っている会社である。経済発展の著しい東南アジア地域をはじめ、アジア地域での展開を図ることを目的とした買収だった。

 国内日用品市場が人口減少と共に縮小する中で、アース製薬は海外展開の拡大を課題としており、今後も主にアジア地域でのM&Aを進めるものと思われる。

M&A Online編集部

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2017/04/20

入浴剤で有名なバスクリン。2012年にアース製薬がツムラからバスクリンを買収。当時、老舗企業による老舗企業のM&Aと注目を集めた。

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