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【アース製薬株式会社】「地球を、キモチいい家に。」 は 実現できるか

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【まとめ】M&Aで海外展開の時間短縮を図る

 アース製薬は、2016年12月期から5か年の中期経営計画に取り組んでいる。最終年度である2020年12月期における目標数値として連結売上高2,000億円、経常利益150億円を掲げている。

 中期経営計画の重点テーマとしては、「海外展開の強化」、「グループシナジーの最大化」、「収益力の向上」という3つを掲げているが、特に「海外展開の強化」と「収益力の向上」の2つについては以前から抱えている問題でもある。

 2008年、アース製薬はフマキラーの海外基盤を狙った買収を仕掛け、失敗に終わった。その後の同社の海外展開はほとんど進んでいない。2015年12月期における同社の海外売上高比率は3.6%と、同決算期のライオン25.7%、2016年3月期における小林製薬14.8%、エステー6.5%、フマキラー44.6%と比べ、極めて低い水準となっている。

同社は2020年12月期には、海外売上高比率を7.5%まで高めることを中期経営計画で掲げており、2017年5月にはベトナムのAMG社を買収するなど、目標達成までの時間の短縮にM&Aを活用している格好になる。

 収益力の向上については、アース製薬単体の要因だけでなく、日用品業界全体として企業間競争の激化などにより収益性が低下傾向にある。さらに、同社が製品販売だけでなく、収益性の低い口腔衛生用品などの仕入れ商品を扱っていること、シェア拡大のために販売促進費を増加させてきたことなども低収益の要因となっている。シェア拡大のための販売促進費を増加は製品ポートフォリオの違いなどの要因もあり、単純比較はできないが、経営の効率化が必要であるのは確かだ。

 このように、同社が抱える課題は、すぐに解決するには非常に高いハードルで、海外事業を短期間に伸ばすには海外企業へのM&Aが必須だ。他方、M&Aを行うと今度はのれん償却や、借入れの金利負担が収益を圧迫するというジレンマに陥る可能性もある。今後、同社がどのような戦略で会社を成長させ、これまでの課題を解決していくのか、その行方に注目したい。

 この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。 

まとめ:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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