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【キヤノン】東芝メディカルシステムズ買収の先に見据えるものは?

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※画像はイメージです

■売上高に対するM&A効果

 上記グラフを見れば、東芝メディカルシステムズに多額の投資を行ったこともうなずけるのではないだろうか。キヤノンは日本を代表する超優良企業であるが、その内実は非常に切迫していると言えよう。

 次に、財務状況の分析を行いたい。下記グラフは、キヤノンの総資産額などの推移を示している(のれん代については14年12月期より個別表示が開始されたため、それ以前の年度について下記グラフにおいてはゼロ表示となっている)。

■総資産額等の推移

 15年12月期現在で総資産額4兆4千億円強、自己資本比率は70%を超えており、財務状況は一見すると非常に安定している。しかし、アクシスの買収の際に発生したのれん代は2500億円を超えている。キヤノンは、米国会計基準により決算書が作成されているため、全額が資産計上されていて費用としては計上されていない。

 これに加えて、16年12月期は東芝メディカルシステムズののれん代が加算される。東芝メディカルシステムズの買収で発生するのれん代は推定6000億円、のれん代が総資産に占める割合は推定で合計20%近くにも上る。のれん代は減損テストによる減損が認識されない限りは費用として顕在化しないため、たちまちに業績や財務に影響を与えるとは考えにくい。また、成長の見込まれる「監視カメラ」及び「メディカル」市場にも陰りは見られないため問題はないものと考えられるが、リスクを内包していることには変わりない。

 東芝メディカルシステムズの買収までは、現在に至るまでに築き上げてきた内部の蓄積があったが、今後はこの内包したリスクを考慮した上でのM&Aが余儀なくされる。今やグループ全体で4兆円もの売上高を誇るキヤノンではあるが、今後の巨額M&Aには大きなリスクを伴うこととなり、動向に注目したい。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

まとめ:M&A Online編集部

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M&A Online編集部

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