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【ワタミ】介護事業撤退もリスク分散のM&Aで復活か? 今後に注目

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画像はイメージです。

「つぼ八」から自社ブランドの「和民」へ
順調に東証第1部、2部上場を果たす
 ワタミ<7522>は、外食・介護・農業・環境などの事業を行うワタミグループを統括する持ち株会社である。始まりは1984年、「つぼ八」とフランチャイズ契約を締結した頃にさかのぼる。92年に自社ブランド居酒屋の「和民」を出店し、既に展開していた「つぼ八」の店舗を順次「和民」に切り替えていった。98年8月には東証第2部へ、2000年には東証第1部への上場を果たした。

■ ワタミの業績推移



 14年までは一貫して右肩上がりに売り上げを伸ばしているが、その売り上げも15年には減少する。ワタミのみならず、総合居酒屋チェーンが総じて厳しい経営状態に立たされることになったのだ。要因としては若者の居酒屋離れ、飲み会の減少、コンビニ、ファミレスといった競合の台頭などが原因として挙げられる。

 経常利益を見ると13年度をピークに大きく減少している。ブラック企業という烙印(らくいん)を押された影響もあり、客足が遠のくとともに大幅な減少が見て取れる。ワタミは、赤字脱却を目指し、14年には100店舗、15年には85店舗を閉鎖し、収益確保に急いだ。

 総合居酒屋として運営してきたワタミも、徐々に専門性の高い居酒屋業態の開発に力を入れる。専門性の高い居酒屋業態は客足が軽いことが要因にあるようだ。現在、ワタミの展開する外食業態は、11業態に分かれており、中でも新業態の売り上げはいずれも好調のようだ。しかし、9割程度を「和民」などの総合居酒屋が占めるため、新業態の効果が大きく出るのはまだ先になりそうだ。

■セグメントごとの業績

(単位:百万円)

 セグメントごとの業績を見ると、09年以降の外食売上高の減少が目立つ。一方で、買収によって取得した介護事業と宅食事業は上昇傾向にある。介護事業は05年、宅食事業は07年に買収をしている。ここで簡単なワタミの沿革およびM&A実績を確認したい。

■ ワタミが行った主なM&A

年月 沿革およびM&A
1986.5 神奈川県横浜市中区尾上町に、ワタミを設立
1987.2 商号をワタミフードサービスに変更
1987.3 お好み焼HOUSE「唐変木」および居酒屋「つぼ八」のフランチャイジーとして直営店舗を運営していた有限会社渡美商事より営業全部を譲り受け、お好み焼きレストラン事業および居酒屋事業を開始
1992.4 「豊かで楽しいもうひとつの家庭の食卓」をコンセプトとした自社ブランドの新業態開発を行い、1号店として居食屋「和民」笹塚店を東京都に出店
1996.10 株式を店頭登録
1997.5 従業員独立制度による居食屋「和民」フランチャイズ1号店を開店し、居食屋「和民」の従業員独立によるフランチャイズ展開を開始
1997.12 酒類の仕入価格の低減を図ることを目的として酒類の小売免許を有する渡美商事の株式全部を買取り、子会社化
1998.5 人材採用、募集業務の充実を図るため、キャリアビジョンの株式を取得、子会社化
1998.7 ローコスト店舗の建設、メンテナンス体制の整備を目的として、ピー・エム・エス(現・ジャパン・リテイル・メンテナンス)を設立、子会社化
1998.8 東京証券取引所市場第2部に株式を上場
1998.10 水産・農産物の生産販売を行う大禄の株式25%を5億円で取得、資本参加
2000.3 東京証券取引所市場第1部に株式を指定替え
2000.11 ピーエムレストランツから営業権を1億9600万円で取得
2000.11 外食事業の新業態イタリアン居食屋「CaraGente」(カーラジェンテ)のチェーン展開を目的として、カーラジェンテを設立、子会社化
2002.3 センター集中加工による外食事業の仕込み食材品質向上を目的として、ワタミ手づくり厨房を設立、子会社化
2002.4 ファミリーコミュニティレストラン「和み亭」のチェーン展開を目的として、和み亭を設立、子会社化
2002.4 有機野菜の仕入・販売および農業研修事業の充実を図るため、子会社としてワタミファームを設立する
2003.4 グループ経営の事業効率化を目的に、子会社の和み亭、カーラジェンテを吸収合併
2003.10 グループ全体の経営資源の効率的管理を目的に子会社のワタミ手づくり厨房をワタミフードサービスに吸収合併
2004.3 子会社キャリアビジョンのキャスティング事業部の営業の一部を3000万円でオープンループに譲渡
2004.3 医療法人幸会から介護事業を譲り受ける
2004.4 介護サービスの事業展開を目的として、ワタミメディカルサービスを設立、子会社化
2004.7 グループ社員の独立支援を目的として、ワタミダイレクトフランチャイズシステムズを設立、子会社化
2004.7 子会社のジャパン・リテイル・メンテナンスをワタミエコロジーへ、子会社のキャリアビジョンをワタミユニバーシティへ商号変更する
2004.11 農業事業拡大のため、有限会社当麻グリーンライフの株式51%を2200万円にて取得出資し、業務および資本提携
2004.11 中国本土への出店のため、子会社の和民(中國)有限公司が和民餐飲(深圳)有限公司(本店・中国広東省深圳市)を設立
2005.3 アールの介護の株式100%を73億5000万円(売上高29億円)にて買収
2005.5 三商和民股份有限公司を設立
2005.9 ワタミバイオ耕研を設立
2005.10 ワタミメディカルサービスが自社開発の高齢者マンション(住宅型有料老人ホーム)一号棟として「レヴィータ岸和田」を大阪府岸和田市に開設
2006.2 ワタミフードサービスを設立
2006.3 ワタミ医療サービスを設立
2006.5 ワタミファームがワタミバイオ耕研を合併
2006.6 ワタミにて教育事業部を設立
2006.9 ソニー生命保険との業務提携を開始
2008.7 タクショクの株式100%を28億2000万円(売上高68億円)にて買収
2008.10 和民國際有限公司を設立
2008.11 WATAMI FOOD SERVICE SINGAPOREを設立
2009.4 グループ経営の事業効率化を目的に子会社のワタミフードサービスがワタミダイレクトフランチャイズシステムズを吸収合併
2011.8 和民餐飲管理(上海)有限公司を設立
2011.8 グループ経営の事業効率化を目的に子会社のワタミフードサービスがティージーアイ・フライデーズ・ジャパンを吸収合併
2011.8 韓国での居食屋「和民」開発を目的として、韓国GENESISと和民國際有限公司との合弁会社GNS WATAMI FOOD AND BEVERAGE SERVICEを設立
2013.3 高知県初出店となる「和民」高知追手筋店を出店。国内外食事業において、全国47都道府県への出店を達成
2013.6 取締役会長(非常勤)の渡邉美樹が取締役を辞任
2013.12 デリズとワタミインターナショナルが、カンボジアにおいて居食屋「和民」のフランチャイズ経営を行うため、Delis Watami Cambodiaを設立する合弁契約を締結
2015.10 ワタミの介護(売上高354億円、営業利益22億円、純資産11億円)の全株式を損保ジャパン日本興亜ホールディングスに210億円で売却すると発表

異業種への資金投入を続け
介護事業参入を遂げる
 ワタミはM&Aにおいて、同業の場合は資金を掛けず、異業種に大きな資金を掛けていることが見て取れる。04年、ワタミは子会社(ワタミメディカルサービス)を設立し訪問介護事業に参入したが、訪問介護は採算が厳しかった。そんな折、後継者難のため譲渡先を探していた「アールの介護」を買収、自社の子会社と「アールの介護」を合併させ「ワタミの介護」として独立させた。買収時、介護施設は神奈川県、埼玉県、東京都に16施設のみであったが、現在は東京、大阪など8都道府県に111施設を有する巨大な介護事業者となった。ワタミの介護は2013年には54億円の利益を出し、グループの中でも稼ぎ頭となった。しかしながら、「ブラック企業」との世間の批判によりイメージが悪化。施設の入居率90%を超えていた時期は長くは続かず、現在は70%台となっている。

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