M&Aで「ハニカム型」経営を推進

ハニカムとはハチの巣のように正六角形をすき間なく並べた構造をいい、強度があり、衝撃への吸収力に優れる特徴がある。ハニカム型経営は、いわばハチの巣の孔を増やしていくことで強靭な事業構造を形成できるとの考え方に基づく。その手立てがM&Aの活用というわけだ。

前回中期計画の期間中、ヒビノは建築音響の日本音響エンジニアリング(旧・日東紡音響エンジニアリング)、業務用音響・映像機器販売のエレクトリ、同じくヒビノアークス(旧JVCケンウッド・アークス)の3社を子会社化した。

このうち、日本音響エンジニアリングは放送局やスタジオ、ホールなどの音空間の設計・施工を手がける。同社を傘下に収めたことで、川上の建築音響から川下の音響システム販売までの一気通貫体制を確立した。

建築音響をめぐってはさらに今年1月、日本板硝子環境アメニティを4月1日に子会社化すると発表した。同社は1988年に日本板硝子の環境事業部が独立して発足。ホール、スタジオのほか、高速道路の騒音や商業施設の防音対策に強みを持つ。同社とすでにグループ入りしている日本音響エンジニアリングは建築音響市場を二分する関係にある。買収金額は19億5000万円で、ヒビノとして過去最大級のM&Aとなる。

2013年にはファーストエンジニアリングを子会社化し、照明分野に新規参入した。同社はホールやライブハウスなどの舞台照明で実績を積んでいる。照明事業は現在、「その他の事業」に括られるが、音響、映像に次ぐ柱に育成する構えだ。

ヒビノは2006年に東証ジャスダックに上場したのを機に、M&Aに本格的に着手した。07年、録音・音響機器輸入のヒビノインターサウンド(旧ヘビームーン)、08年に音響・映像機器輸入のスチューダー・ジャパンーブロードキャストを子会社化した。主要機材に関し、複数ブランド体制の確立を推し進めてきた。14年には映画館向けに強みを持つヒビノイマジニアリング(旧コバレント販売)をグループに迎えた。

この間の取り組みをみると、M&Aを活用して既存事業領域の強化と新たな成長機会の創出につなげている。「ハニカム型」経営の実践が読み取れる。実際、売上高も5年前の176億円(14年3月期)からほぼ倍増している。