介護業界の今後の動向 本業×介護で相乗効果が期待できる企業・業種に注目

――今後の介護業界において、注目している企業はありますか。

高齢者住宅新聞社 代表取締役社長 網谷 敏数氏

 大和ハウス工業やパナホームなどのハウスメーカーは、自前で事業所を建設できるという意味合いで引き続き存在感を保つでしょう。全国規模の大手でなくても、地域で事業展開を行うビルダーが、M&Aを絡めながら参入するケースは大いにあり得ると思います。

 また、藤沢市のパナソニック工場跡地を再開発する形で、多数の企業が参画したFujisawaサスティナブル・スマートタウン(FujisawaSST)など、「街づくり」という観点から介護事業を考え、戸建て住宅、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)・特別養護老人ホームなどが一体化した形で開発を行う動きもみられます。

 そんな中、自社マンション「PROUD」の周辺に介護施設を開き、入居者の方が優先的に利用できるという取り組みをはじめた野村不動産、サ高住の建設に取り組み始めた三井不動産などは、デベロッパーとしてこれまで行ってきた「街づくり」の感覚を介護事業に生かせるという点で注目しています。

 ケースに応じて利用できる介護事業所が、そこに暮らす住民にとって必要不可欠だ、という前提での開発が、今後進んでいくのではないでしょうか。

――進出を拡大する企業側は、これまで他業種で培ってきた実績やノウハウを、介護業界でどのように生かすかという点がテーマになりそうですね。

 介護業界とリンクしやすい、住宅、不動産、保険などのフィールドにある企業は、すでに生かせる強みを持っていると言ってもいい。介護業界に参入することで本業との相乗効果が期待できる企業には注目です。

――来年など、近い将来で予期される業界の動向についても教えていただけますか。

 住宅の確保が困難な高齢者や低所得者層などに対して、国や地方自治体がサポートしながら既存の空室を積極的に再生・活用し、空室率の改善を促進していこうという趣旨の「改正住宅セーフティネット法」が2017年4月に成立しました。

 今後、例えば空室が目立っている賃貸アパートの1F住居をサ高住としてリノベーション&登録を行い、高齢者が入居しやすい環境を整えるなどの動きが出てくるかと思います。高齢者問題は国が抱える直近の課題であることに変わりはありませんので、今後も数か月単位で新たな動きが出てくるはずです。

――ありがとうございました

取材・文:M&A Online編集部

株式会社高齢者住宅新聞社 代表取締役社長 網谷 敏数
網谷 敏数(あみや・としかず) 
青山学院大学卒業後、株式会社全国賃貸住宅新聞社入社。全国の有力管理会社、ハウスメーカーなどの取材を重ね、全国的なイベントとなった「賃貸住宅フェア」の企画・運営に携わる。平成15年3月、同社社長に就任。平成18年4月から『高齢者住宅新聞』の創刊・発行に携わり、介護・医療などをテーマに取材活動を行なっている。 
『高齢者住宅新聞』 http://www.koureisha-jutaku.com/