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日産、EV用充電池の「コストカット」に本気出す
日産自動車が電気自動車(EV)用電池の「コストカット」に乗り出した。高騰しているレアメタル、コバルトの使用量を削減し、車載電池のコストを現在の1kwh当たり約150ドルから30年前後には3分の2の100ドル以下に引き下げる方針という。
実は両方とも新しい技術ではない。FCVの実験車第1号が誕生したのは1966年のこと。米ゼネラル・モーターズ(GM)が開発した「Electrovan」がそれ。液体水素を燃料に、航続距離は240km、最高時速は110kmだったという。
全固体電池も1990年代に最初の研究開発ブームが起こっている。当時はペースメーカーのように絶対に液漏れを起こしてはいけない機器向けの小型電池として注目されたのだ。その後、ゲル状の電解質を利用したポリマー電池が普及し、全固体電池の研究開発ブームは一旦終わった。
EVで全固体電池を利用すればリチウムイオン電池に比べて航続距離が最大2倍、発火事故や電池の劣化も起こりにくい。しかも、わずか15分で全体の80%の充電ができるという触れ込みだ。これらについても「実験室レベルでの話で、量産化で実現するのは難しいのではないか」との指摘も根強い。
現時点で発表されている全固体電池は、小型電池で強みを発揮するものがほとんど。EVを動かすような大出力・大容量タイプで、こうした優れた特性を再現できるかどうかは未知数だ。
米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、トヨタが2017年に発表した全固体電池について「口では何とでも言える。サンプルを持って来て、私たちか第三者の研究機関で検証させてくれ」とこき下ろした。マスクCEOは以前にも、トヨタが究極のエコカーとしていたFCVを「水素社会など来ない」と批判している。
トヨタは東京オリンピック・パラリンピックで全固体電池車の試作モデルを公開する予定だ。「全固体電池車ブーム」に踊らされず、先ずはその性能を見定めてから全固体電池の将来性を判断しても遅くないだろう。
文:M&A Online編集部
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日産自動車が電気自動車(EV)用電池の「コストカット」に乗り出した。高騰しているレアメタル、コバルトの使用量を削減し、車載電池のコストを現在の1kwh当たり約150ドルから30年前後には3分の2の100ドル以下に引き下げる方針という。